1月4日の記事に続いて、テレビとネットの2016年を考えていこう。筆者は7つの項目を挙げた。
- テレビ番組のネット配信さらに進む
- 動画広告がやっと本格的に盛り上がる
- 視聴計測がホットな議論になる
- ライブ配信が急速に盛んになる
- ソーシャルテレビが再び活性化する
- SVODは静かに広がっていく
- 同時再送信も着々と進む
4.ライブ配信が急速に盛んになる
昨年12月、Ustreamの事実上のアジア撤退が報じられたのは読者諸氏にも記憶に新しいところだろう。2010年に一世を風靡し、Twitterとともにソーシャルメディアの核となっていたUstreamも、気づいてみると下火になっていた。
一方、LINEが「LINE LIVE」の名称でライブ配信サービスを同じ12月に起ち上げたのも驚きだった。Ustreamが下火になったのにライブ配信?だが、彼らには勝算があるように見える。
そこには「PC→スマホ」の流れがあるのだ。ライブ配信そのものが廃れたというより、UstreamはPC中心でありスマートフォンへの対応が遅れてしまったということだろう。そしてスマホ時代の雄であるLINEがライブ配信をはじめたことは、時代の必然だと言える。そして、LINE LIVEは驚異的な存在になる可能性を持っている。開始から5日間で視聴者数が1000万人を超えたことは、LINE LIVE が”マスメディア”になりうることを示している。
ライブ配信のポイントは、「いまからはじまる」ことをいかに伝えるかにあった。Ustream時代だと数千人の視聴者数で十分多いと感じたが、LINE LIVEはその比ではないようだ。Ustreamがtwitterで必死に拡散するしかなかったのに比べると、LINEの場合はベースとなるユーザーの数がケタ違いだ。それにtwitterによる告知はtweetに接触する偶然性に頼らざるをえなかったのに対し、LINEではプッシュ通知ができる。現時点でも明確にファンを持つアイドルや音楽アーティストの利用が盛んのようだ。ライブを聞きたいと常日ごろ思っているファンに「今日○時からやるよ!」とプッシュ通知すれば、多くが視聴してくれそうだ。
LINE LIVEはテレビ放送を揺るがす存在になる可能性はあるが、現実的にはむしろテレビ放送と連携するほうが互いの効果を高められそうだ。LINE側もそういう心積もりがあるように見える。もともとLINEとテレビは親和性がありそうだと言われてきたので、LINE LIVEとテレビの試みは今年出てくるのではないだろうか。
一方、ツイキャスも今年は見逃せない存在になりそうだ。昨年フジテレビのドラマ『恋仲』で、ドラマ放送時に出演者がツイキャスで配信して話題になった。ユーザー数も、1000万を超えたというので、潜在的には十分な影響力を持った。女子高生の間ではツイキャスの利用が高く、その世代の成長とともに影響力が上がってくるだろう。
ツイキャスはかなり前から続いているサービスだが、ここまで使いやすさの追究を重ねてきたという。だからこそ、女子高生が自分のスマホでカンタンに映像を配信できる。サイトを見ると、彼女たちの部屋をのぞき見るような不思議で妖しい配信でいっぱいだ。その気軽さをテレビ放送にも活用できるだろう。おそらく今年は”ブレイク”するのではないだろうか。
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