Media Border読者の皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もMediaのMorderぎりぎりを取材し、皆さまにお伝えしていくのでご期待を。
さて新年最初の記事は、ありがちながら一年の予測を書いてみよう。テレビとネットの最前線で2016年、起こりそうな事柄、進みそうなトレンドを想像してみる。まったく新しいことが起こるというより、ターニングポイントとなった2015年が過ぎて、曲がり角を曲がった先にあるのは何か、というのが今年ではないかと考えている。
テレビとネットの2016年、私が挙げたいポイントは以下だ。
- テレビ番組のネット配信さらに進む
- 動画広告がやっと本格的に盛り上がる
- 視聴計測がホットな議論になる
- ライブ配信が急速に盛んになる
- ソーシャルテレビが再び活性化する
- SVODは静かに広がっていく
- 同時再送信も着々と進む
昨年は、TVerがスタートしたこととNetflixのサービス開始が2つの軸だった。今年は言わば、”その延長線上”で物事が進んでいくと私は見ている。つまり、テレビ受像機もスマートデバイスもすべてテレビになる、というとらえ方がますます具体化する、ということだと思う。
ここからは、二回に分けて個々の項目を掘り下げていこう。
1. テレビ番組のネット配信さらに進む
2015年、テレビとネットの融合の括りの中で最大の出来事がTVerのスタートだったろう。2016年はさらにテレビ番組のネット配信が進みそうだ。
年末にTVerをのぞいてみたら、かなりの番組にCMがついていて驚いた。それまで、個々のテレビ局のサイトでやっていた見逃し配信は、最初にスタートした日本テレビ以外はCMがついていることが少なく、自局の番宣を流していたことが多かった。だがTVer登場で状況が変わったように見える。
これは別の要因もあり、上半期にやや行き詰まっていたテレビCMの受注が10月以降活性化し、電波のほうに空き枠がなくなってきたのだ。CMの量がオーダーに届かない際に見逃し配信を勧めているのだと聞いた。
こういうところにTVerを起ち上げた意義が強く出ていると言える。"TVer百万ダウンロード達成!"という状況の中、「放送のCM枠だけだと足りませんがTVerどうですか?」とセールスしやすいのではないだろうか。売る側にとっても買う側にとっても"百万ダウンロード”というのはわかりやすく響くのだと思う。”わかりやすさ”はビジネスとして定着する際に非常に重要だ。
一方、関西キー局である讀売テレビが1月8日から見逃し配信を自社でスタートすると、12月に発表された。
すでに毎日放送も見逃し配信をはじめており、今年は関西キー局で同様の動きが進むかもしれない。そうなると名古屋や札幌・福岡などでの検討もはじまりそうだ。また12月のインタビュー記事でもふれたGYAOの「ご当地テレビ」も番組が増えるのではないか。
テレビ番組のネット配信は、”融合”の核となるべきテーマだったがなかなか進まなかった印象がある。それがここへ来ていきなり具体化しはじめ、さらに加速度がついてきた。CM枠のセールス動向も含めて今年もっとも注目するべき項目だと思っている。
2. 動画広告がやっと本格的に盛り上がる(ここから先は登録読者のみ)
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