テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2016年01月号

ライブ配信とは、コミュニケーションだ!〜ツイキャスの運営会社モイを取材した〜

2016年01月21日 09:16 by sakaiosamu

「ツイキャス」というサービスを知っているだろうか。MediaBorderでも年明けの2016年予測記事で少しだけとりあげたが、ライブ配信サービスのひとつだ。

→MediaBorder記事「テレビとネットの2016年、何が起こるか?〜その2〜」

”ライブ配信”は昨年末にLINEがLIVEというサービスをはじめたので最近のトレンドに思えるが、実はツイキャスは2010年にローンチしている。Ustreamの日本語版の提供開始が2010年で、ニコニコ動画のライブ配信サービスである”ニコ生”が2008年スタートであることを考えると、ツイキャスも”老舗”と言っていいだろう。

また直近ではとくにスマホでのライブ配信や動画配信のサービスが次々に登場しているが、ツイキャスは早くからスマホでの扱いやすさに磨きをかけてきていた。いろんな意味で先見性があり、ここへ来て大注目のサービスとなっている。

テレビとの関係でも先行事例がある。2015年夏の月9ドラマ『恋仲』の最終回で出演者の大原櫻子と太賀が、放送中にツイキャスで配信した。副音声のコメンタリーを映像付きで配信するような試みで、16分の配信で17万人以上が視聴したという。

このツイキャスの運営会社、モイ株式会社を訪問し、事業企画・丸吉宏和氏に話を聞いた。

キャラクターのぬいぐるみもかわいいと人気だキャラクターも可愛く、人気だ

まずツイキャス誕生の契機は、ラジコンにある。JokerRacerという、インターネットを通じて操作するラジコンカーがあり、その技術から生まれたのがツイキャスだった。ネット経由でラジコンを操作する際にはライブで確認できる映像が必要であり、その最重要ポイントとなるのが”遅延をなくす”ことだ。クルマに搭載されたカメラから映像が届き、ハンドルを操作して遅延なしにクルマが反応できないと操縦できない。

JokerRacerの技術をそのまま使えば、ライブ配信アプリができてしまった、ということらしい。筆者は技術のことはよくわからないが、このプロモーション映像を観るとなんとなく理解できる。

ツイキャスは2010年のローンチ以降、徐々にユーザー数を伸ばしていった。筆者は2011年にツイキャスと出会っている。というのは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏が、テレビとは別に個人的な活動をネットではじめたのが話題になったのだ。『淳の休日』と呼ばれるこの活動は、twitterでフォロワーたちにイベントを呼びかけ、その様子をツイキャスで配信した。ツイキャスはその名の通り、twitterとの連携がしやすい動画配信アプリで、田村氏のように莫大な数のフォロワーを抱えるタレントが気軽に配信するにはうってつけだったのだ。

 →『淳の休日』WEBサイト

だがツイキャスのユーザー数を本当の意味で伸ばしたのは、そうした著名人による配信ではなく、一般人によるものだった。というのは、2012年にスマートフォンのカメラが両面になり、自撮りを簡単にできるようになってからユーザー数が急増したのだ。つまり、スマホで誰でもカンタンに自分がしゃべっている映像を生配信できるようになった、それがユーザー拡大のポイントだった。

これはツイキャス最大の特長であり、筆者が注目しているのもこの点だ。LINEのLIVEはもともとのユーザー数の多さを武器に、著名人による配信を前提としている。そこには大きなニーズがあるだろう。だがツイキャスはそれとポジションが大きく違う。ツイキャスで配信するのは名もない普通の人びとだ。著名人ではない。

あえて言えば、少し前のYouTubeに似ているかもしれない。実際、YouTuberに似た形で、ツイキャスから有名になった人もいる。”お馬鹿タレント”的に扱われる藤田ニコル氏がそうだ。テレビからは伝わらないが、彼女は実はツイキャスを通じて絶大な支持を得ている異才なのだ。

彼女の才能とは、みんなとコミュニケーションする能力だ。なにしろ、ツイキャスは自撮り映像が基本なので、YouTuberのように何らかの芸を披露するわけではない。キャス主(ツイキャスでは配信する人をこう呼ぶ)がスマホを通じてユーザーに語りかける。ユーザーはコメントで反応する。見知らぬ人同士でコミュニティを突然つくることができ、キャス主を中心としたコミュニティの中で語り合う。ツイキャスとは、映像配信を通じたコミュニケーションツールなのだ。

コミュニケーションを盛り上げるための仕組みや、その独特の文化について、丸吉氏にさらに掘り下げて聞いてみよう。(ここからは登録読者のみ)

モイ株式会社・事業企画の丸吉宏和氏。ツイキャスに携わっていることに、誇りと喜びを感じていることが話していると伝わってくる

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