前回に続いて、朝日新聞のデジタルウォッチャー・平和博氏のインタビューをお届けする。
ちなみに平氏はいまはオピニオン編集部に在籍し、またフォーラム欄という、読者の意見を集めてつくるページを担当しているそうだ。
それから、GQ Japanに今回のインタビューと近い内容の平氏の記事があるので参考に読んでもらうといいだろう。
→GQ Japan「ジャーナリズムが得た新たな表現方法 - 平和博」
では、さっそく前回の続きに入ろう。
ネットメディアで気になるのは、やり玉に挙げるようで申し訳ないのですがハフィントンポストにしても、今朝もDAIGOの結婚の話題を載せたりしていて、そういうメディアだったかなあと。もう少しジャーナリズムっぽかった気がしてるんですけど。
平:どうなんでしょうねえ?私も一寄稿者としてしか接点がないので。実は編集部に行ったことがないんですよ(笑
あれ、そうなんですか?ぼくは何度か行ったことありますけど。
平:じゃあ境さんのほうがお詳しい(笑
いわゆるバイラル系のニュースメディアって難しいというか、複雑というんですかね。ハフィントンポストは、当初はジャーナリズムというより、ブログをいっぱい集めてきてそれがネット上で拡散することでスケールしてきています。BuzzFeedなんかもそうですけど、いわゆるネタ系で規模をとってジャーナリズムにも踏み出すみたいな流れがあったと思うんですよ。なので、ジャーナリズムもやるけれども、ネタもやる、猫もやる、みたいな(笑
それをどうとらえるか、ポータルと考えると方向性としてはあるんだと思います。調査報道から猫までここに来れば全部ありますという。アメリカのバイラル系をみるとそんな感じがありますね。ハードニュースはかなりしっかりしてるけれども、ネタ系はほんとに”しょうもねえな”というのもあります。
BuzzFeedも柔らかいのが大半でちゃんとしたニュースがその中に乗っかってる感じなんですか?
平:そうですね、割合はいまどうなのかわかりませんけど、ハードニュースはかなりしっかりしてますよ。ちゃんとした調査報道のジャーナリストとかどんどん雇ってますからね。それはさっきも出たブランディングを考えてなんだと思います。
あと、イコール広告単価みたいなことも含めて、ハードニュースで信頼度を高めていくと。猫ばっかりのページだったのが、調査報道で政府系もビビるようなスクープ記事も出てくると、信頼度も変わってくるでしょうから、それはビジネスにも直結しますよね。
広告単価を上げるためにはちゃんとした記事が必要だったんですかね。
平:必要だったんだと思います。二、三年前の、ある程度のユーザー数を確保した時点で、その先のビジネスを考えた時、一斉に調査報道とかハードニュースみたいなことに動きました。ハフィントンポストも調査報道記者を入れてピューリッツァー賞をとったりとか、BuzzFeedも海外展開する中でジャーナリストをメインストリームから入れたりしてますから、そこはひとつ局面が数年前に変わっていると思いますね。
デジタルメディアの最新動向の中で、注目ポイントをお聞きしたいのですが、やはり”分散型メディア”は大きなキーワードでしょうか。
平:そうですね。各社がそっちに動いているし、数字的にもそこにユーザーがきちんといるデータがあがってきてるんでしょうね。
日本にBuzzFeedも来ますし、分散型メディア、そこにネイティブ広告を掲載していくのがこれからのメディアのポイントになるんでしょうか。
平:ネイティブ広告もそうですし、まずはネイティブなコンテンツで、その中に挟む広告で結果を見て、ということかもしれないですけどね。できることはなんでもやりたいというか、今後伸びそうだということであれば、そっちに行くということだと思います。ハフィントンポストがライブストリーミングをやめるのも・・・
「新聞紙学的」のあの記事はびっくりでした!
平:ああいう形で、潮目が変わったなと思ったら次のところに乗り換えていくという、そのスピード感はすごいですね。いかに機敏にリソースのリロケーションができるのかという競争になってきてるんじゃないですかね。とりあえずのキーワードとしては分散型とかVRとか出てきてますけど、それがこの先もずっとそれなのかっていうとわからない。また新しいプラットフォームやトレンドが出てくると全然違う取組みになるでしょうから。
ジャーナリズムにVRの波は来そうですか?
平:来そうという人と、来なさそうという人と両方いますね(笑 オキュラスリフトとか”ブツ”が出てきているのである程度の注目は集めると思うんですけど、それがみんなが使いやすい価格とか使い勝手できちんとワークするビジネスに落とし込めるかは見てみないとわからないでしょう。ニューヨークタイムズ(以下NYT)はすでに360度のバーチャルリアリティ広告とかやってますけどね。
え?! そうなんですか?
去年難民のVRコンテンツをやった時に、一緒にVRのネイティブ広告も出してるんですよ。それできちんと売上も立ってますというインタビューをついこないだ、NYTの社長がCESの会場でやってましたから。
売上も立ったんですか?すごいですね!
事例を作って売上も立てて、という機敏さはすごいですね。で、うまくいかなかったら次のことに切り替えてという姿勢ですね。
さっきも出た、ハフポがライブをやめちゃうのは衝撃です。 潮目といわれればそうかなと思いますけど、いまひとつ自分としてわかってないんです。スタジオまでつくって頑張ってたのに・・・(ここから先は登録読者のみ)
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