テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2019年03月号

世帯視聴率から個人視聴率へのシフトは、テレビを90度変える。

2019年03月25日 16:28 by sakaiosamu

年明け以来、MediaBorderではテレビの指標の変化について伝えてきたつもりだ。メディアのパラダイムシフトの最大の事例だと思う。これらの記事でレポートしてきたのは、テレビが広告メディアとしてこれまでと違う方向に向かいそうな気配だ。

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敏感なMediaBorder読者諸氏なら、これらの動きを他でも感じているのではないだろうか。だが例えばある局の若い現場の社員と話している時に、「個人視聴率は会社で話題になってますか?」と聞いてもキョトンとされてしまう。まだまだ啓蒙がなされていないようだ。

あるいは今日も、ネットで「ポツンと一軒家、イッテQをまたリード!」というような見出しとともに、視聴率争いの記事を目にする。だがそこで言う視聴率とは世帯視聴率のことだ。スポーツ紙ではなぜか世帯視聴率を朝一番に入手できているようで、翌日すかさず視聴率について記事になっている。それを読んで各局の現場のテレビマンたちが一喜一憂しているかと思うと、切なくなる。関東圏ではビジネスに使われなくなってきた指標に、若い現場の面々が泣いたり笑ったりしていることの不可解さ。

この世帯視聴率と個人視聴率は、正反対とは言わないが90度くらいは違う指標だ。そのことをテレビ界はできるだけ早く共有すべきだと思う。この10月には、関西地区と中京地区でもスポット取引が個人視聴率ベースの「All & P+C7」に変わるのだ。来年には日本全体の個人視聴率測定が可能になる。今からその違いを認識したほうがいいと思う。

ものすごく乱暴だが、簡易なモデルで見てみよう。仮に10世帯が調査対象だとしよう。その中の6世帯がある番組を見ていれば、世帯視聴率は60%になる。ところが上の図のようにその世帯の中に25人いて、このように個々人が見ていたのなら個人視聴率では36%になる。

このように、世帯視聴率の”6がけ”が個人視聴率の数値になる、とよく言われている。水準が違うだけで、6割になるだけならさほど変化はないだろう。だが番組の傾向によって相当違った出方をする。それをまた別の例で見てみよう。

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