テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2019年02月号

世帯視聴率の時代はおしまい〜テレビにやってくる「視聴質」というパラダイム〜

2019年02月08日 11:18 by sakaiosamu
2019年02月08日 11:18 by sakaiosamu

視聴率好調のテレ朝が、放送収入で一人負け

11月にこんな記事を書いた。

「それならば、視聴率競争とは何なのだろう?〜在京キー局第二四半期決算より〜」

テレビ局のスポット収入が下がっていると聞いたので、決算資料からキー局のタイム収入とスポット収入を取り出してみた。確かに各局ともスポットが前年比で大きく落ちているのだが、タイムは逆に上がっていた。ところがテレビ朝日だけはスポットも下がっている上にタイムも下がっていた。

11月はちょうど、テレビ朝日が10月に短期的に全日トップを取り日テレの首位を脅かしていると盛んに報道されていたので、視聴率が上がっても売上につながらないのなら、何のために視聴率競争をしているのか、と記事では問いかけた。

だが視聴率の好調とセールスには時間的にギャップがあるかもしれない。テレ朝の好調は次の決算で放送収入に表れる可能性もある。そこで2月7日に第3四半期の決算が出揃ったところで、放送収入を取り出して増減を見てみた。その結果が上のグラフだ。

想像していたのだが、第2四半期での傾向に拍車がかかっていた。テレ朝のスポットダウンは続いている上、タイムの単独減少もそのまま継続し悪化していた。いろいろ言われるフジテレビでさえタイムはプラスなのにだ。視聴率絶好調のはずのテレ朝が放送収入で一人負けしている。

ここで私は、テレビ朝日を揶揄したいわけではない。そうではなく、もはや「世帯視聴率を競い合う」意味がなくなりつつあると言いたいのだ。

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