3月27日に放送を巡る諸課題に関する検討会の「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」の第4回が開かれました。これに先立つ22日、共同通信が「ラジオのAM放送廃止を要請へ FM一本化、民放連」 という記事を配信。この会議で発表される内容をいわば“すっぱ抜いた”ものであり、会議の傍聴にもラジオ関係者や報道陣を中心に多くの人が集まりました。
さて、この日の議題は以下の2つです。
(1) 民放事業者の経営ガバナンスについて
(2) ラジオの意義と課題について
(1) 民放事業者の経営ガバナンスについて
民放連が加盟テレビ局127社に取ったアンケート「民放事業者の経営ガバナンスに関するアンケート調査結果」の案を民放連・武田企画部副部長が説明する形で進みました。設問は大きく「経営ガバナンス」「コンプライアンスの徹底」「ステークホルダーとの対話・強調」の3つに分けられています。すでに資料は総務省ウェブページで公開されているので、回答をいくつか抜き出してみます。
- 経営理念について。企業価値を「地域情報の発信」と「報道機関としての役割」とする局が9割。
- 経営の目標について。中期経営計画は「自社制作番組の強化」が最大、収益力の向上が8割で続く。「激変するメディア環境への対応」「労働環境の改善」が7割。「多様な人材の確保」を目的とするのは80社
- 適切なリスクテイクが継続的に行える経営の仕組み。メディア経営戦略ほ担当する業務執行役員を決めているのが68社、取締役会でメディア経営戦略を議論しているのが60社。構造変革を含む事業展開を過半数の社で追求
- 社外取締役からの助言は71社。スタートアップに強い広告会社への出資や社長直轄のミレニアル会議の設置などは経営ガバナンスの機能発揮のひとつ。若年層へのアプローチ、越境EC。現場を巻き込んだメディア経営戦略。メディア敬遠戦略を担当する部署を決めているのは94社
- コンプライアンスについて、サイバーセキュリティ、ハラスメントなどを明示的に選んだのは8割。委員会設置は82社。「守り」の経営ガバナンスのアイデアも現場にある。事故を未然に防止する仕組みを構築しているのは75社。
- 34ページ。ステークホルダーとの対話。番組制作などの現場に地域住民が触れる機会を設けているのは117社。視聴者の意見を能動的に聞いているのは110社。番組審議会の活性化を図っているのは74社
- 41ページ。その他。ベストプラクティスが集まった反面、課題も明らかに。メディア経営戦略の担当役員は半数。地域・社ごとに課題は様々だが、ベストプラクティスを共有することで民放全体の底上げが可能。会員社による自律的なガバナンス強化を進めていく
この結果に対し、武井構成員(西村あさひ法律事務所・弁護士)は「とてもよくまとまっている。有益な内容」と評価。結果案では集計結果の数字だけでなく各局の実践例=ベストプラクティスが各問について紹介されていますが、これらの周知を「メッセージ性をもって各社に伝えて欲しい」と要請。「数字が単に多い少ないではなく、各社が考えることは重要。回答する過程で気づくことは貴重な機会」と、経営ガバナンスについて自ら考えることの意義を強調。同時に、「これに終わりにせず、不断にアップデートしてほしい」と注文を付けました。
また、川島構成員(筑波大)は、「企業規模、設立時期、地域の特性に応じてガバナンスの在り方、危機感に違いがあれば価値あるデータにある。時間の許す範囲で分析を」と意見しました。
(2) ラジオの意義と課題について
本日の“メインイベント”です。多賀谷座長からこの分科会ではAMラジオについて扱うと断りがあった上で、事務局から資料の説明がありました。かいつまんで紹介します。
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