会場は、総務省地下2階・講堂。有識者のプレゼンは電通・奥律哉氏からはじまった
本誌では総務省での「放送を巡る諸課題に関する検討会」について何回かレポートしてきた。NHKの同時配信の課題を議論する場だったが、議論というより同時配信を進めたいNHKとなんとしても押しとどめたい(ように見える)民放側の駆け引きというか小競り合いというかが繰り広げられてきた。ところが昨年12月25日の「諸課題検討会」で突然、議論の空気と矛先が変わった。
そのあらましは12月31日付けの記事で関根禎嘉氏が詳細に書いてくれている。ポイントを引用すると・・・
議論のフェーズが変わった背景には、内閣府の規制改革推進会議が11月29日に決定した規制改革について第2次答申があります。ここに放送用帯域のさらなる有効活用の検討が盛り込まれています。近い将来、電波の「波」が足りなくなるのは明白です。「2030年、放送がどういう姿になりたいのかをしっかり示し、守るのではなく攻めの発想を。放送・通信融合サービスが始まる世界で、『放送の周波数が足りないから通信からくれ』ぐらいの勢いで検討してほしい“攻めるが勝ち”で具体的な姿を描きながら高次元で放送と通信の競争が起こってほしい」と北構成員がかけた発破はたいへん刺激的かつ重要です。どのような社会を目指すのか、その上で放送が果たすべき役割は何なのかについて、当事者の主体的な議論を求めたいです(そう考えると、発言を譲り合った民放の姿勢には物足りないものを感じます)。
規制改革推進会議で出た「電波の割当」の議論を受け、電波が足りなくなってもテレビ放送は重要だという主張を、放送側からしていくことになったのだ。なぜか同時配信の議論は吹き飛び、電波利用をテーマにした分科会が開かれることになった。2月20日はその「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討分科会」の第2回だった。(それにしてもどんどん長くなる会議名称はなんとかならないのだろうか?)
開催案内には「有識者からの説明」としか書かれていなかったが、配布された議事次第には次のようなメニューが並んでいた。
- 視聴者から見たメディアとしての放送(電通/奥律哉氏)
- 諸外国等における放送の位置づけ(三菱総研)
- 信頼されるメディアとしての民間放送(民放連/木村専務理事・木村研究所長)
- インターネットトラヒックの現状(三菱総研)
- 規制改革推進会議における検討状況(内閣府/西川参事官)
この稿は、上記内容を詳細にレポートする意図ではない。後日公表されるだろう配布資料を直接読んでもらえばここで詳しく説明するよりずっと内容がわかるだろう。ここでは、筆者のまったく個人的な感想を書いてみようと思う。
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