テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2018年02月号

2030年にテレビ放送は存在しているか?という視点

2018年02月08日 10:21 by sakaiosamu


※画像は「Society5.0政府広報」トップページより

早くも2018年が走り出して1カ月が経った。たまたま興味のある趣旨のセミナーや会議が続き、筆者は目まぐるしくあちこちの会場を駆け回る日々が続いた。この稿では、そうした場で知見した中から少しずつ興味深かった点を紹介しながら、今年に入って感じる動向、その背景などをまとめてみたい。印象に残ったことを断片的につなげるので少々曖昧な内容になりそうだが、そのバックグラウンドにある”新しい状況”を少しでもお伝えしたい。

上の画像は、「Society5.0」の概念の政府広報トップページだ。まずはぜひここでムービーをご覧いただきたい。政府広報特有の奇妙で前時代的な動画プレイヤーなのが全然未来感がないのだが、そこは気にせずに。

5分の長いものもあるが、ページの一番下に90秒バージョンの入り口もあるので、それで十分だと思う。

→「Society5.0」政府広報ページ

Society5.0は、内閣が提唱する科学技術政策のスローガン的総称で、つまりは現政権と霞が関が「日本の未来をここへ進めていきたい」との意志表明だ。筆者はここで描かれる未来が今までの未来像とずいぶん違う点に驚いた。一見、今と変わらない日本だからだ。そもそも、我々が未来を描く際、こんな田舎町はイメージしない。東京を中心にした未来の都市を想像するのが普通だった。

ここで描かれるのは、どう見てもこれがCMとして放送された映画「君の名は。」を意識した世界だ。なにしろ、アニメでヒロインの声を演じた上白石萌音が出演しており、朝目覚める場面からはじまるのもアニメを意識している。「君の名は。」では東京と田舎町が対比的に描かれる。Society5.0だって東京を舞台にしてもよさそうなのにあえて田舎を選んでいるのがポイントだ。

十数年後だかのいまと大して変わらない生活のディテールを見ていくと、驚くような未来が見えてくるという、非常によくできた映像だと思う。もはや未来は、都市を飛び交う見たこともない乗り物や、きらびやかな高層ビルが並ぶ姿ではないのだ。ごく普通の風景の奥まで開かないと未来は描けない。だが確かにそこは、便利になっている。さほどお金のかからない未来の姿が、Society5.0なのだ。

そしてテレビとネットの横断をテーマとするMediaBorderが注目したのが、この世界でのテレビの有り様だ。テレビ受像機は登場するのだが、そこでは「放送」は映っていない。主人公の祖母と思しき高齢女性が、どうやら医者とコミュニケーションしている。Society5.0ではテレビ受像機は、コミュニケーションデバイスなのだ。そうとらえると、衝撃を受けないだろうか?Society5.0の世界では、果たしてテレビ受像機はいまのテレビ局の放送を受信する役割も持っているのか?この映像ではまったくわからないのだ。 

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