テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2016年05月号

スマートフォンでマスメディアはつくれるか?〜AbemaTVについて、サイバーエージェント藤田社長にインタビュー〜

2016年05月08日 23:40 by sakaiosamu

4月11日にスタートしたAbemaTV。テレビ朝日とサイバーエージェントが合弁で設立した株式会社AbemaTVが運営している。サイバーエージェントの事業部ではなく、会社を設立して取り組んでいる。ちょっとやってみようというレベルではない、本腰を入れた事業なのがわかるだろう。

テレビ朝日の早河洋会長とサイバーエージェント藤田晋社長が意気投合してお互い強い意気込みで取り組んだのだともっぱら言われている。スタート以来、私も時折アプリを立ち上げて見ていると、なかなか面白い。とくに熊本での震災時に、出先でも映像でニュースを視聴できたことは新鮮だった。ネットでの映像ニュースの価値を、強く感じた出来事だった。

5月3日にはダウンロード数が早くも200万を突破するなど、好調な情報も次々に伝わってくる。つてをたどって取材を申し込んだらなんと、藤田晋社長がじきじきに応じてくださるとのことだ。それだけ社長自ら意欲を持って取り組んでいるということだろう。さっそく渋谷のサイバーエージェント社を訪問した。

藤田社長とはもちろんはじめてお会いしたのだが、世間一般で言う社長らしいいでたちではなく、カジュアルな服装で構えずに話す方だった。人前でしゃべるのは得意ではない、と言いつつAbemaTVの話は熱く語る。そこに、並々ならぬ思いが込められているのが感じられた。

ここからは、藤田社長の言葉をできるだけそのままお伝えしたい。

なお、本題に入る前に参考記事を2つ紹介しておきたい。ひとつは、ITジャーナリスト・西田宗千佳氏による藤田社長へのインタビュー記事。サービス開始前の3月初旬の記事だ。

→スマホ上に"マスメディア”を。サイバーエージェント藤田社長が語る「AbemaTV」の狙い(3月10日 AV Watch 西田宗千佳のRandom Tracking)

もうひとつは、私がアドタイの連載に書いたものだ。AbemaTVをほめているようなそうでもないような、微妙な記事だが。

→AbemaTVはテレビだけどLINE LIVEはテレビじゃないのは、どうして?という話(4月25日 AdverTimes )

インタビューはサイバーエージェント社の会議室で行われた。その部屋は、昨年同社のブランドを再構築した際に生まれたキャラクター・Abemaくんで埋め尽くされた楽しい空間だった。

------------------------------------------------------------

AV Watchの西田宗千佳さんのインタビューはすでに読みました。かなり濃い内容でしたね。

藤田社長(以下、藤田):そうですね。あれでしゃべることなくなっちゃって(笑

西田さんの記事はオープン前だったので、オープン後のお話をうかがいたいですが、その前に企画の経緯もあらためてうかがいます。西田さんの記事では「マスメディアを作る、テレビ局をつくる」というお話が盛んに出てきました。

藤田:昨日今日ではなくずっとやりたかったことでした。インターネットは黎明期からアングラ感も漂うし、マイナーだしデザインもスタイリッシュではないし、メジャーではないものでした。我々もメディアを作るんだと、メールマガジンだブログだとやってきましたが、これでメディアと呼べるのかというマイナー感があって。そこをどこかで変えたいなと思ってたんです。それが今回のAbemaTVにつながってます。

メジャー感を考えると映像でありテレビだということですか?

藤田:そうです。それに流すコンテンツにもメジャー感が必要。ANNのニュースもそうですし、タレントさんも一流の方々に出演してもらっています。調達しているコンテンツもK1だったりMTV、ドラえもんも流れるようになっていて全体にメジャーなものが揃っています。実際に開局して我々がやっていたものと比べると、やっぱりいままでマイナーだったんだなと。あとネットでこういうのを見てくれるのかについては、ぼくとしてもひとつの賭けでもあったんですけど「これなら見るな」っていうのはありましたね。(ここから先は登録読者のみ)

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

広告主はいま、メディアをどう考えているのか?〜日本アドバタイザーズ協会・常務理事 小出誠氏に聞く〜

2019年03月号

「さよならテレビ」はテレビの何にさよならしたのか〜東海テレビ・圡方宏史氏インタビュー(後編)〜

2018年11月号

「さよならテレビ」はなぜテレビをさらけだしたのか〜東海テレビ・圡方宏史氏インタビュー(前編)〜

2018年11月号

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2019年12月号

どうしようどうしよう、とオロオロしていてもはじまらない。いままでのやり方で...

2019年11月号

メディアはすでに、次のステップへと走り出した。そう実感させられることが次々...

2019年10月号

メディアの風は変わり目を迎えた。これからどこへ吹くのか、見定めねばならない...