テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2023年10月号

NHKの今後の受信料、こう考える〜読者アンケート全回答

2023年10月04日 11:02 by sakaiosamu
2023年10月04日 11:02 by sakaiosamu

前回の記事でNHKの今後についてアンケートでみなさんの考えを募った。通りすがりの方に気分で描かれるのは避けるべく、日頃からメディアについて考えている方が多い、当MediaBorder購読者に限定させてもらった。

ではNHKはこれからどうすればいいのか?〜そろそろ、受信料問題を考える時

さすが我が読者のみなさん!なかなかに濃い回答が集まり、非常に参考になった。

NHK受信料は「税金で賄う」が多数

まずシンプルな質問への回答をお見せしよう。まず2040年になってもNHKは必要か?この問いにはなんと、全員が「必要」と回答した。

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その理由を文章回答で書いてもらったのが以下だ。長いものもあるが、全部で14名分なのですべて掲載しよう。

●民間放送とは違う立ち位置の放送局は必要との意見
・建前とはいえ、スポンサーに左右されない報道機関は、まだ日本には必要である。
・視聴率に関わらない番組づくりの場として、かつオンデマンドでない放送媒体として。
・マーケットメカニズムに任せた民間メディアのビジネスモデルだと、報道の維持が不可能になるため、受信料収入に支えられた公共メディアの重要性が一層高くなる。
・必要悪。経済性、マーケットとは異なる資金で新しい取り組みができることは強い。
・日本の民主主義は未成熟であり、少なくとも一つは広告や課金に左右されない公共メディアがないと、すぐに崩れてしまう恐れがあるため
・マーケットメカニズムに任せた民間メディアのビジネスモデルだと、報道の維持が不可能になるため、受信料収入に支えられた公共メディアの重要性が一層高くなる。
・民間事業者では弱い/出来ないジャンルがあることは歴史が証明済。

●国民が等しく頼れる質の高い報道機関として
・災害報道等全国あまねく放送出来る公共メディアは必要。
・NHKの報道を頼りにしている人が高齢者を中心に一定数残っている。 民放では作れない質の高い報道番組、ドキュメンタリー番組を作っている。
・人的・資源的・資金的に見て、現在の日本では最高度の取材・報道ネットワークを1社で構築できている組織だから。
・間違いのない、絶対的に信頼出来る、偏りすぎることのない、とにかくスピードが早い、国民のための報道機関の役割として必要である。
・国民のできるだけ幅広い層が負担する資金で維持運営され、政治的、商業的に特定主体の影響を相対的に受けにくい形態の放送メディアは、時代状況にかかわらず、(NHK自身が使っている用語を借りれば)「情報空間の参照点の提供」という機能を通じて、健全な民主主義社会の発展、social convergenceの確保などに重要な役割を果たし得ると考えるから。
・必要/不要というよりも、NHKが存在している日本と、NHKが存在していない日本をイメージした時、存在している日本の方が、国民的にも、経済的にも、世界の国々から見ても、ベターだと考えるから。
・映像産業を、牽引して欲しいから。国力かな
・メディア企業の経営環境が厳しくなるなか、受信料という安定財源を持っているNHKしか、全国くまなく取材態勢を維持して報道をカバーできないのではと考えるからです。新聞・通信社が地方取材網を維持できなくなっており、国民の知る権利を保障する意味でも、NHKの報道態勢を維持・充実することは大きな意味があると考えます。逆に配信サービスの隆盛で充実しているエンタメ部門については、NHKがやる必要があるのか、しっかり検証しなければならないと思います。総務省の有識者会議でもNHKの役割論をちゃんと議論していません。今、相撲協会の不祥事(時間外労働賃金未払い、パワハラ)を取材していますが、その中で内部の人間が言うのは、「ふだん大相撲を取材している人は知らないはずがない」ということです。本場所を中継しているNHKが最も近いはずですが、協会の大本営発表を受けて報じただけです。近くで大相撲に接している記者ほど報じれなくなっているという、ある種ジャニーズ問題に似た構造が、相撲の世界でも起きています。弊社でも記事を出そうとすると、相撲担当記者の妨害を受けました。ジャニーズ問題における紅白の不透明さもそうですが、エンタメやスポーツに手を出していることが、NHKの報道を委縮させている気がしてなりません。公共メディアとしてNHKが生き残るため、報道に特化したメディアになることが必要ではないか、と考えています。

最後の回答は非常に生々しいことを書いてくれた。総括すると、スポンサーや視聴率に左右されないことに大きな存在意義があるということだろう。そして回答はいずれも「報道機関(ドキュメンタリー含む)」としての価値を言っていると受け止めた。

続いて2つ目のアンケート。2040年のNHK受信料はどうあるべきか。全員が「必要」と回答した前提で見てもらいたい。

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「税金で運営する:42.9%」「国民全員に義務化する:28.6%」。「税金で運営」も「国民が負担すべき」と大きく見れば同じと解釈すると、71.5%がそう回答したことになる。「今と同じ、テレビを買った人が払う:21.4%」と少数派。「スクランブル制にして見たい人だけが払う:7.1%」で、実は14名中一人。
全員が「必要」と回答したのだから「義務化すべき」が7割を占めるのも当然かもしれない。

NHK受信料の問題は、NHKの役割から議論すべき?

ここからは、2つ目の質問の理由の長文回答を紹介しよう。ここからは購読者限定とする。長い回答もあるが、とても考えさせられるものが多く参考になる。

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