テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2019年08月号

NHKネット展開の究極アイデア、コンテンツを誰でも使える「オープンデータ」にしたらどうなる?〜〜新志有裕氏隔月連載〜

2019年08月30日 08:34 by sakaiosamu
2019年08月30日 08:34 by sakaiosamu


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Introduction
弁護士ドットコムニュース編集長の新志有裕氏による隔月連載。前回はNHK受信料についてだったが、今回もNHKが題材。ネット配信をして「公共メディア」になるとしたら、いっそこんなこともやったらどうか、という無茶は承知の上での思考実験的な記事だ。実現するかどうかは置いといて、面白い考え方だ。「公共メディア」とはたんに経路が放送だけじゃなくなるだけではないかもしれない。それを考える上でもぜひ読んでもらいたい。


 

 

 

書き手:新志有裕(弁護士ドットコムニュース・編集長)

放送法の改正で、NHK番組のインターネット常時同時配信が可能になり、長期的に考えると、NHKはネットを補完的なものと位置付ける「公共放送」から、放送とネットを両輪とする「公共メディア」の方向に向かっていきそうです。その場合、NHKの役割はどう変わるのでしょうか。

改正された放送法の20条14項では、NHKがインターネット配信をするうえで、他の放送局が実施するインターネット配信の円滑な実施にも協力しなければならないということが明記されていますが、ネットも含めた「公共メディア」の時代に突入するのであれば、今後、放送業界だけでなく、インターネットでの情報流通全体への貢献が求められる日がくるでしょう。逆に、そうでないと、受信料問題への不満がくすぶる中で、いつまで経っても火種が残り続けるかもしれません。

その貢献は様々な形が考えられますが、今回、ある種の「思考実験」や「究極のアイデア」として、NHKの持っているコンテンツ(メタデータではなく、中身そのもの)をオープンデータとして、使用許諾不要で提供したらどうか、ということを考えてみたいと思います。

◆誰でも自由に使える「いらすとや」みたいなもの

 このアイデアについては、私が急に思いついたわけではなく、ある情報メディア法の研究者から数年前、ジャストアイデアとして聞いたことが印象に残っていて、これまでに、ごく数人とだけ話したことがあるものです。

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