テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2018年11月号

「さよならテレビ」はテレビの何にさよならしたのか〜東海テレビ・圡方宏史氏インタビュー(後編)〜

2018年11月22日 14:24 by sakaiosamu


「さよならテレビ」の1シーン、報道部の面々に趣旨を説明する圡方氏                  (c)東海テレビ 

 話題の東海テレビ制作のドキュメンタリー「さよならテレビ」ディレクターの圡方氏へのインタビュー、前編はいかがだっただろうか。読んでない方は先にそちらをお読みいただきたい。

「さよならテレビ」はなぜテレビをさらけだしたのか〜東海テレビ・圡方宏史氏インタビュー(前編)〜

前編の最初に紹介した東海テレビのCM。そこに「さよならテレビ」がすでにあったと書いた。このCMはACCなど多くの賞を受賞しており、よくできている。これを見た時、私は「圡方さんはコピーライターだな」と思った。取材後にそのことを彼に伝えると、広告代理店と組んで作ったものでコピーは自分が書いたわけではない。コピーライターとはおこがましいです、と言っていた。なるほど、コピーがまたよくできていたのだが彼の作ではないようだ。だとしても元々コピーライターである私から見て、圡方氏はコピーライターだと感じている。

コピーを書いたかどうかとは別に、コピーライターは企業と消費者の間に立ち、互いの言葉を翻訳する存在だ、とその昔教えられた。その意味で、圡方氏はテレビと視聴者の間で双方に何かを伝えようとしているのではないかと思うのだ。その作業に胸を打たれる者もいれば、心を逆なでされる者もいる。感情を沸き起こすことこそ「さよならテレビ」の存在価値なのだろう。

後編では、作品を離れたところの圡方氏の”思い”も聞いていく。最後の方は、できるだけ彼の言ったことをそのまま書き取って文章にした。書き言葉としていくぶんおかしい部分もあるだろうが、その分圡方氏の生の言葉を受け止めてもらえればと思う。

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聞き手・境(以下、S):放送は今年の9月ですね。それまで1年7ヶ月取材されてきて、2018年の秋に放送するっていうのを目標にしてたんですか?

圡方宏史氏(以下、H):最初からわかってたわけじゃなくて、取材していく中で、プロデューサーとだいたいいつくらいの放送になるんだろうと相談していきました。ただ最初からある程度の長期にはなるなと思ってたんで1年以上はかかるぞとは話してましたけど。

S:放送に至るまでに、先に社内でお披露目みたいなことはあったのでしょうか?

H:社内で試写はしました。一番最初にした三つの約束の中で、事前にプレビューしますというのがあったんで。

(注・最初の方で圡方氏らと報道部の間での三つの取り決め「・マイクは机に置かない・デスク会は撮影許可を得る・放送前に試写を行う」が出てくる)

S:そうでしたね。試写は放送の1カ月前とか?

H:直前ですね、放送の前々日でした。

S:その段階で「おいおい!」みたいな声は出なかったんですか?

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