テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2018年11月号

「さよならテレビ」はなぜテレビをさらけだしたのか〜東海テレビ・圡方宏史氏インタビュー(前編)〜

2018年11月25日 12:12 by sakaiosamu


※東海テレビ「さよならテレビ」WEBサイトより

「さよならテレビ」という東海テレビ制作のドキュメンタリー番組が話題になっている。 見ていない方の方が多いだろう。東海テレビの放送エリアで9月に放送されただけなので通常の手段では見ることができない。それなのに大きな話題になっているのは例えばこんな記事がバズったからだ。

「業界騒然! 東海地方限定番組「さよならテレビ」は何がすごいのか?」(2018/11/12 文春オンライン)

もうひとつ、放送関係者は”いろいろな手段”でこの番組を見ている。かく言う私も、録画を入手した友人に見せてもらった。私にとってはかなり面白いもので、後半何度か目がじわっとした。ドキュメンタリーはあまり見る方ではないのだが、意外にストーリー性があり心を揺さぶられた。「さよならテレビ」という過激なタイトルのわりに、放送業界で働く人へのエールも感じた。

この時、実は十数名の仲間たちと見た。キー局ローカル局問わず興味がありそうな友人たちに声をかけたのだ。感想を聞いていくと、私同様「映画を見てるようだった」と感動を述べる人もいたが、中にはムスッとしている人もいた。もっとはっきり言えば怒っている。そうか、怒る人もいるのか。テレビマンたちには感動したと言う人もいれば、これはないよと憤る人もいる。その千差万別の反応が面白く、それぞれが語る言葉がまた何かを考えさせてくれた。自分自身が感じた面白さとは別に、人によって反応が違うのがまた面白かった。そして語り合うことが大事だとも感じた。

そのあとさらに飲みながら話すと、「なぜこの企画が通せたのか」が話題になった。60周年企画の冠がついているから、上層部に話を通して作り始めたのだろう、そうじゃないとこんな企画が進められるはずがない。みんなの意見は大方そんなところだった。私もテレビ局という組織をなんとなく知っているので、確かにあらかじめ上層部が了承してくれてないと撮影も放送もできないだろうと思った。

それにしても、なんでこれを作ったんだろう。制作者に会ってみたくなった。二週間後、私は名古屋駅に降り立った。「さよならテレビ」の中心人物、圡方宏史氏のアポをもらえたのだ。一時間だけだがこってりしゃべってくれたので、二回に分けてそのほぼ全文を記事としてお届けしたい。

その前に紹介したいのは、インタビューの中に出てくる圡方氏が企画制作したCMだ。東海テレビの公共キャンペーンCMで、東日本大震災から3年経ったことを主題にしたものと、戦後70年を機に企画されたもの。いずれも連作で、15秒30秒のものが続けて流れる。

私はインタビューの後で見たのだが、なるほどと得心した。これはすでに「さよならテレビ」ではないか。まだ見てない方も、この一連のCMを見れば「さよならテレビ」の企画意図は理解できるだろう。併せて上述の文春の記事を読めば、実際に見たも同然・・・とこれは言い過ぎだが、それくらいこのCMは「さよならテレビ」だと思った。少なくとも、なぜ「さよならテレビ」を作ったのか、理解できる。

前置きが長くなったが、圡方氏のインタビューを読んでもらおう。 


※東海テレビ玄関前。実はインタビューに夢中になり写真はこれしか撮っていない。猛省ポイントだ。

 

聞き手・境(以下、S):あまり言っちゃいけないかもしれませんが先日DVDを入手しまして。 

圡方宏史氏(以下、H):あはは。密かに入手する方が多いらしいんですがどこからなんでしょう?

S:それは言えません(笑

H:あはは。取材源の秘匿みたいな?全然いいです、気にしないです。

S:たぶん系列の関係者の人なんでしょう・・・

H:ええ、系列の人たちからいろんな経路で“お求め”いただくことが多いのだと思います(笑

S:私は勉強会をやっていまして、テレビ局の仲間で見てみようかと10人ぐらいで一緒に見まして、結構最後グッときたりして面白かったなあ、と思いました。一緒に見たみなさんも面白かったねえ、映画みたいだったねという人もいたんですけど、中に数名、ムスッとしてる方たちもいて。いろいろ異論を唱える方もいたんです。そういうものかと思って。

H:そうですね。それでいいかなと思ってます。

S:それで取材しようかなと言ったら、取材してきてくれーと言われてここへ来た次第で。さっそく本題に入らせていただきます。今回の『さよならテレビ』という、自分たちを題材にするドキュメンタリーを企画されたのはどういう背景だったのでしょうか。

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