ここへ来てテレビ界のトピックとして急浮上しているテーマがある。それは、テレビのネットメディア化だ。
もっともわかりやすい例が、テレビ朝日の「テレ朝POST」だろう。ご覧のようなトップページだ。
テレ朝POSTは言ってみれば番組宣伝記事のサイト。直近で放送予定の番組について、記事の形式で掲載されている。テレビ局は長らく、スポーツ紙をはじめとする外部メディアに記事を”書いてもらい載せてもらう”ことが大きな広報活動だった。だがネットの時代になり既存の紙メディアもネットで記事を配信しはじめた一方で、ネット発の無名の新しいメディアもこぞってテレビをネタにした記事を配信するようになった。それら新旧メディアに番組の記事を載せてもらうことも引き続き重要だが、一方で「自分でメディアを持って自分で掲載する」手法も考え方として有りになって来た。その発想をいち早く具現化したのがテレ朝POSTだろう。
テレ朝POSTで注目したいのは、SMART NEWSとの提携だ。このニュースアプリは、多様なメディアの記事を再編成するキュレーションアプリだが、その中に「テレ朝POST」のタブを設けることに成功している。
SMART NEWSという大きな入り口を持つことで、自分たちが配信したい記事を広く人々に読んでもらうことができる、ということだ。
読者諸氏も感じている通り、ネットの話題の中でテレビ発の情報が占める割合は非常に高い。テレビ離れを起こしている若者でも、著名タレントが関わる話題はよく読むし、その発信源はほとんどテレビ番組だ。日曜日フジテレビの「ワイドナショー」で松本人志が言ったことを、多くのネットメディアやスポーツ紙のネット版が”再録”し、多くのPV数を稼いでいる。
だったら自分たち自身が記事にして配信する手があるのではないか。テレ朝POSTはそんな考え方なのだと思う。
テレビ朝日は「Favclip(ファブクリップ)」というWEBメディアをそれなりの体力を注いで展開していた。テレ朝POSTはどうやら、Favclipを置き換えてはじめたメディアではないかと私は推察している。
それから実は最近私も知ったのだが、フジテレビも同様の趣旨のメディアを展開している。
フジテレビ・マスカットと名付けられた、やはり番宣記事のサイトだ。
こちらも、なかなか一つ一つ頑張って”記事”の仕立てにしている。
これらはテレビのネットメディア化だと言えそうだ。ただ、テレ朝POSTやフジテレビマスカットをざっと見ていくと、少々物足りなさを感じる。長らくネットで記事を配信して来た経験から言うと、スタンスが違う気がするのだ。この点についてもう少し書いてみたい。(ここから先は登録読者のみ)
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