テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2017年04月号

ネット動画の視聴が、普通の人の普通のことになってきた

2017年04月25日 09:17 by sakaiosamu

huluがリニューアルを発表した一方、消えていくサービスも

4月20日、huluの会議室はプレスで溢れかえっていた。同社が動画配信サービスを、5月17日に大きくリニューアルすることの説明会が行われたのだ。「懇親会のつもりでお声がけをしたつもりが」と、壇上で説明したhuluの人びとも戸惑っていたが、その注目の高さが伺える状況だった。

リニューアルの内容を説明するHJホールディングス社事業戦略室室長・太田正仁氏

リニューアルの内容についてはすでに大量の記事が出ているのでここでは詳しくは書かない。ポイントは「初めて日本オリジナルのUIに変わる」ことだ。huluはもともと、米国からやって来た外資サービスだったのを、日本テレビが2014年(もう3年も前!)に買収したのはよく知られている通りだ。だがサービスのシステムはずっと米国製だった。買収後も日本側から米国側にオーダーしてシステムを更新してきたそうだ。そのため、日本オリジナルの仕様に作り変えられなかったのを、今回ようやくまったく日本側で開発してリニューアルするに至ったという。

その成果は、5月のリニューアル後に使ってみるしかないが、レコメンデーションを人力で行うのはユーザーとして期待できる。Netflixのプログラミングによるレコメンで、結局は同じラインナップばかり提示されることに飽きていたので、いい着目点ではないかと受け止めた。

盛り上がるhuluに対し、退場するサービスも出てきた。2016年2月にスタートしたゲオチャンネルは、今年6月末でサービスを終えることを、今月初めに発表している。たった一年でサービスを閉じることには驚かざるをえない。なぜそうなったかについては、ここでは後回しにしておこう。

huluのリニューアルが象徴するのは、日本でも動画配信サービスがかなり普及し、続々登場した段階から次のステップに入ったことだ。huluのシステムがアメリカ本国のものだったのが日本オリジナルに変わることが、それを如実に感じさせてくれる。「黎明期」はもう終わったのだ。

動画サービスは、マジョリティ層にも普及が広がりはじめた

さて少し話は変わるが、今月12日にニールセン社が動画配信についてリリースを発表した。これがまた興味深い内容だった。「有料動画サービス」の視聴実態について調査したもので、地上波テレビは含まれないことに留意してほしい。

※画像はニールセン社リリース( http://www.netratings.co.jp/news_release/2017/04/Newsrelease20170412.html )より

これは「映像にお金を払う人びとの動き」を示している。「有料インターネット動画」だけが明らかに伸びている。ほんの2%だが、他が下がっている中で明らかに伸びていることが重要だと思う。

「レンタルや購入したDVD、ブルーレイ」が大きく6%下がった他、ケーブルテレビが1%、有料衛星放送が2%それぞれ下がっている。

パッケージと放送サービス、そしてVODを並べているのが面白い。そしてドラマや映画のヘビーユーザーである私の実感値とほとんどリンクしている。

もう一つ、同じリリースからグラフを見てもらいたい。

※画像はニールセン社リリース( http://www.netratings.co.jp/news_release/2017/04/Newsrelease20170412.html )より

このグラフは要するに、先駆者的な人びとより追随層的な人々の方が有料インターネット動画を使うようになってきたことを示している。パイオニア層、アーリーアダプター層への普及がひと段落し、アーリーマジョリティ層への普及が始まったと言えそうだ。それはつまり”普通の人”が使うサービスになってきたということだ。

Netflix上陸時に黒船騒動と呼ばれた一方で、「日本人は無料で映像コンテンツを見ることに慣れているので動画配信は伸びないのだ」と主張する人も多かった。その際に私は、レンタルや多チャンネルなどにお金を払う人はものすごくたくさんいるのに、とその主張に懐疑的だった。VODの今後はそこをこそ見るべきで、ニールセンの今回の調査はそこにはっきり変化が出てきたことを示しており重要だと思う。ではこのデータを受けてどう考えればいいだろうか。(ここから先は登録読者のみ)

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