先月30日、第21回にあたる総務省「放送をめぐる諸課題に関する検討会」が開催された。その概要は前の記事で関根氏が丁寧なレポートを書いてくれているので、そちらを読んでもらえればと思う。
→「視聴者」はどこにいるのか?諸課題研レポート〜関根禎嘉連載・メディアイベント右往左往《第22回》〜
ここではこの会議を傍聴した私なりの感想と、NHK同時配信をめぐる議論の奇妙な進め方について書き記しておきたい。そこには、この国の意思決定がいかに不思議でルールも何もないものか、という重要な問題が露呈している。そしてNHKの同時配信の実現にまだまだ残された、けっこう大きなハードルも確認したい。突き詰めると浮上するのは、そもそも「公共放送」とは何なのか、という禅問答だ。
今回の諸課題検では、「第二次取りまとめ」を受ける形で、様々突きつけられた同時配信実現に向けての課題に対するNHK側の”回答”がテーマとなっていた。私は事前に、「根回しは済んでいる」との情報は得ていた。だから回答に対しまた異論が出る段階ではないことはわかっていた。
一方で、事前にNHKが受信料を値下げを発表していた。受信料問題も課題の一つだったわけだが、その下げ額があまりにも小さく、それに対してクレームをどこかがつけないのかとも思っていた。またガバナンスを整えよとのオーダーにこれまでももやもやとした回答しか出ていなかったので、さすがに今回はまっとうなガバナンス策が出てくるのだろうと想像していた。
ところがNHKが出した書類に私は驚いた。
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