テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2017年03月号

同時配信の議論は本来、テレビの将来像の議論ではないか〜実証実験の結果と文研シンポジウムより(1)〜

2017年03月09日 14:56 by sakaiosamu

2016年11月から12月にかけて、NHKが同時配信の実証実験を行ったが、その結果が先週発表されている。また毎年恒例のNHK放送文化研究所によるシンポジウムでも、同時配信がディスカッションで取り上げられる場面があった。

この記事では、それらをMediaBorderなりに2回に分けて検証してみたい。

まず実証実験の結果から見ていこう。NHKでは「NHKのインターネット活用業務について」のページで同時配信に限らずネット関連の活動をレポートしている。

→「NHKのインターネット活用業務について」

また報道資料として、実証実験の結果をPDFにしてこの3月2日付けで公開されている。

→PDF「同時配信試験的提供Bと見逃し配信提供実験の結果について」

NHKとして視聴ニーズについてポイントとして挙げているのが以下の3点だ。

  1. Eテレでも一定の視聴ニーズが確認できた
  2. 夜間に自宅での利用が目立った
  3. 同時配信と見逃し配信 両方を利用した人の満足度が高かった

背景となった調査結果をPDFから具体的に見てみよう。 


PDF「同時配信試験的提供Bと見逃し配信提供実験の結果について」
より 

上のグラフで私として注目したいのは、左の「サービス種別」の利用率で同時配信より見逃し配信のほうが上回っている点だ。多くの人は「NHKの同時配信実験」があるというので申し込んだと思う。私もそうだったのだが、同時配信のつもりで使ってみると、見逃し配信の方をよく利用した人が多かったのだ。今回の実験の最も重要なポイントはそこではないだろうか。つまり、同時配信が入口で、実際に使うのは見逃し配信のほうが多くなる、という結果だ。

満足度では両方の利用者がもっとも高くなったのも、セットで使えるサービスだからこそ価値を感じてもらえたのだと解釈できる。

次に「時間帯別の利用動向」のグラフを見ると、意外な結果を思い知らされる。ネット同時配信について一般的にイメージするのと違うのではないか。そしてそこに、「テレビの同時配信」の本質があるように思う。(ここから先は登録読者のみ)

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