テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2023年11月号

キー局23年度半期決算ではっきりしたCTV市場の必要性

2023年11月13日 08:58 by sakaiosamu
2023年11月13日 08:58 by sakaiosamu


Adobeの生成AI FireFlyに「Fテレビ局が崩壊しようとしている」と入れてできた画像

前年度から続く放送収入の大幅減少

キー局の2023年度第2四半期の決算が出揃った。キー局は持株会社制で全体の数字から放送事業の様子はわからないので、例によって中核会社としてのテレビ局単体の資料から放送収入だけを取り出して表にしてみた。

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第1四半期とほぼ同じ傾向が続いているのがわかる。ただ、テレビ朝日とTBSはタイムが前年比プラスになっているのは特筆すべきだろう。スポットはどこも惨憺たる有様だが、フジテレビは-12.6%という悲しすぎる数字だ。合計でも-8.3%と最も減少率が高く、往年の王者の姿はない。もはや4位がすっかり馴染んでしまった。ガタガタだ。

視野を少し広げて、コロナ前からの状況も見てみよう。第2四半期の放送収入をこの5年間でグラフにしてみた。

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2019年度には4104億円あったキー局の放送収入の合計がコロナ禍で3336億円まで下がった。2021年度には4000億円台に回復したが、その後は2022年度、そして2023年度とガクンガクンと下がってしまった。昨年度まではコロナ禍による「乱高下」と言えたかもしれないが、今年度ではっきりした。放送収入は今後、下がっていくだけなのだ。
なにしろ、コロナ禍の巣ごもり生活で39.1%にまで上がったPUT(総個人視聴率)が大幅に下がり続けているのだ。今年度はついに30.9%にまで下がった。30%を切るのは時間の問題だ。
テレビ局にとって視聴率は商品だ。特にスポットCMはGRP、視聴率の合計額を売っている。視聴率が下がるのは、在庫が少なくなることで、売るものが毎年減ってしまっているのだ。視聴率が回復しない限り、放送収入は元に戻せない。そして視聴率は絶対に回復しない。それはもう、みんなわかっていることだろう。

CTVは視聴率とは別の新しい売り物

ちなみに19年度から23年度にかけて第2四半期の放送収入はどれくらい減少しただろう。各局ごとに見てみると・・・

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