テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2024年04月号

ローカル局は2度創業できる〜新潟放送はなぜHD体制になったのか〜

2024年04月26日 09:05 by sakaiosamu
2024年04月26日 09:05 by sakaiosamu

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昨年ホールディングス体制になったBSN新潟放送

BSN新潟放送は52年にラジオ放送、58年にテレビ放送を開始した新潟民放局の雄だ。今年の1月に友人の紹介で島田好久社長と知り合いお話した際、昨年から持株会社体制に移行したことを知った。キー局は全て、関西と中京地区の準キー局でも一部が、そしてローカル局でも何局かはすでに持株会社体制にある。その多くは株式上場している。新潟放送の持株会社も上場しているが、実は元々新潟放送は上場企業だった。珍しい事例と思ったし、それを島田社長が快活に語ることに興味を持ち、機会があれば伺ってお話をお聞きしたいとお願いした。
それがようやく4月16日に実現した。先日の記事は、その際に取材したものだ。

震災の国のメディアが共有すべき新潟民放2局の経験

同じ日に、持株会社体制についても取材したので、今回はその記事をまとめた。そこには、想像を超えたストーリーがあり、またローカル局にとって大きなヒントにもなる話だと思う。会社の形を変えることで見えてくる未来があるのだ。

グループ会社を再構成して地域・社会の課題を解決する

まず、新潟放送の執行役員経営戦略局長であると同時に、BSNメディアホールディングスのビジネス開発局長を兼務する、丹羽崇氏に持株会社体制の概要について説明を聞いた。

BSNグループは、持株会社であるBSNメディアホールディングスの傘下に新潟放送とシステム関連会社のBSNアイネット、不動産を中心にしたBSNウェーブを主な事業会社として構成されている。他に「語れ。」という名のブランディング会社、そしてBSNアイネットの7つの子会社もある。

画像 BSNグループ組織図

持株会社化は23年6月で昨年のことだ。まだ一年経っていない初々しい体制。説明してくれる丹羽氏の声は、まるでスタートアップ企業の一員のような高揚感にあふれていた。

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BSNメディアホールディングス ビジネス開発局長・丹羽崇氏

BSNメディアホールディングスの経営理念も見せてもらった。

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「パーパス」を掲げるローカル局はまだあまりないのではないか。「情報産業として」とある。放送産業ではないのだ。そして「地域に寄り添い、様々な課題を解決していく」を目標に掲げる。これをただ言葉として掲げるだけでなく、実現するために議論を始めている。それがホールディングスのビジネス開発局長である丹羽氏のミッションだ。
ビジネス開発局のメンバーは、局長の丹羽氏はじめ新潟放送から3名、BSNアイネットから2名、BSNウェーブから1名、そして「語れ。」から1名で計7名。このメンバーが毎週集まって、グループ内でのシナジーや外部パートナーとの連携などを議論している。
すでに、23年11月の新潟市のビジネスイベント「日々是新」の開催をグループ一体となってバックアップするなど成果が出始めているという。また、県内の自治体のシステムを受託するBSNアイネットなどグループ各社の強みを生かした提案で各市町村との関係も深まっている。さらに、IT企業への出資も決めて業務提携の締結にも至っている。
丹羽氏が発するエネルギーを浴びて、この持株会社化がどれだけ会社全体を鼓舞しているかがよくわかった。
だが、ローカル局がシステム関連会社や不動産会社、広告代理店などを子会社に持つのは珍しいことではない。BSNグループは持株会社化しただけでなぜこんなに活気に溢れているのか。
その理由はこの後に島田社長、そして佐藤隆夫会長からお話を聞いてわかってきた。

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左から島田好久社長と佐藤隆夫会長、ホールディングスでは専務と社長

システム会社の立て直しを図った元報道記者

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