「ライブ配信」という形態への注目が、いま再び高まっている。2010年のUstreamブームがあり、一方でニコニコ動画の「ニコ生」がライブ配信として定着したが、2015年12月のUstream日本法人撤退の発表に象徴されるように、新たな局面を迎えている。言われているのは、PCベースからスマートフォンベースに核となるデバイスが移行したことが大きい、という点だ。
1月号で伝えたように着々とユーザーを増やしてきたツイキャスが、スマートフォンベースのライブ配信として注目されている。
→1月21日の記事「ライブ配信とは、コミュニケーションだ!〜ツイキャスの運営会社モイを取材した〜」
そして何と言っても、昨年12月にスタートしたLINEのライブ配信サービス「LINE LIVE」は勢いがある。数十万人の視聴者を集める配信番組はざらにあり、視聴者数二百万人を超える番組もある。先日は、延べ視聴者数が1億人を超えたことが発表された。
→LINE株式会社のリリースページ:「LINE LIVE」延べ視聴者数1億人を突破
こうなると、「テレビとネットの融合」を考える上で見逃せない存在となってくる。それに視聴者数の莫大な数を見ると、テレビ局の視聴率への脅威でもあり、逆に視聴率を押し上げる頼もしいパートナーにもなりそうだ。ぜひ取材をしたいと思い、LINE株式会社を訪問した。
※左から順に、中根氏、佐々木氏、浅野氏。メディアに関する雑談のような楽しいインタビューだった
取材に応じてくれたのは、LINE株式会社 執行役員 エンタテイメント事業部・佐々木大輔氏と同事業部 副事業部長・浅野裕介氏、そして広報担当としてマーケティングコミュニケーション室・中根大輔氏。
中心人物として開発から携わった佐々木氏が、主に答えてくれた。
まずLINE LIVEがどのような背景から誕生したのかを聞いてみた。
佐々木氏「もともと、LINEの一機能として映像配信の”LIVE CAST"がありました。動画事業をやろうと思ったというより、はじめのうちはメッセンジャーアプリの追加機能としてやってみたものです。当初はあまり目立っていたわけでもなく、社員もそんな機能あったんだと言ってたほどです。それが、2014年10月に「LINEオーディション」という企画をやってみたら、審査の様子を60万人が見てくれました。無名の新人たちの選考をものすごく大勢の人が視聴した。これは独立したサービスにできるのではと、考え始めるきっかけになりました。」
開始3カ月で延べ一億人も集めている映像サービスなので、私はてっきりテレビ局の向こうを張るような意気込みが背景にあるのかとイメージしていたのだが、ひとつの機能としてやってみたら良かったから、という回答にいささか拍子抜けした。だがそこにはコミュニケーションサービスならではの視点と、思いの深さもあることが話を聞くうちにわかってきた。(ここからは登録読者のみ)
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