民放労連が先週、リリースを発表した。放送業界の女性役員状況を調査した結果だ。
労連では昨年も同趣旨の調査結果を発表した。それを受けてMediaBorderではこんな記事を書いている。
テレビ局のダイバーシティは番組の多様性にもつながるはずだ〜民放労連の女性役員数調査の背景
この時は、テレビ局のうち91社で女性役員がゼロだった。今年の発表では91社から92社に増えていた。
民放労連リリース「民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査 結果報告(2022/7/14)」
女性役員ゼロが減るならともかく、増えるとはどういうことだろう。
リリースには「速報」として、「在京テレビ全局に女性役員が任命されました!」とも書いてある。
2022年6月に発表された在京民放各社の役員人事では、それまで女性役員がゼロだった局に女性役員が誕生し、在京テレビ全局に女性役員がいることになりました。
民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査 結果報告(2022/7/14)より
これは前進だろう。ただおそらく、東京証券取引所の市場区分再編がその理由だと思われる。これまでの「1部上場」区分がプライムとスタンダードに分かれ、プライム市場に残るために求められる要素にはSDGsやESGも含まれる。ジェンダー平等を"整える"ためには女性役員がいないわけにはいかなかったからと推測される。
そういう外圧的な理由にせよ、女性役員が増えるのはいいことだと思う。だが一人二人では生ぬるい。いっそ放送業界はクォータ制を導入し、一定割合の役員や管理職を女性にすることをルール化すべきだと思う。それはもちろん、ダイバーシティを進めるべきだからだが、その方がマスメディア企業にとって経営的利点が多くあるからだ。
突破口を開くには、今までにない策が必要
なぜ放送局が女性登用をルール化してでも進めるべきなのか。それは放送業界が行き詰まっているからだ。今までと同じことをやっていては突破口が見えないからだ。
読者コメント