テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2015年10月号 vol.5

ソーシャルテレビ推進会議・9月定例会レポート 「NTTスマートコネクトの動画配信システム」「MXテレビのサイマルアプリ・エムキャス」「東芝テレビ視聴サービス”みるコレ”」

2015年11月09日 08:05 by sakaiosamu

9月30日、ソーシャルテレビ推進会議の9月定例会が開催された。今回も一カ月後のレポートとなってしまったが、貴重な発表をここで記事にしておきたい。

なお、Media Border登録読者はこの勉強会に参加できるので、お申し出を。月に一回のペースでこうした定例会を行っている。(発行者の境治まで連絡をsakai@oszero.jp https://www.facebook.com/sakaiosamu)

9月の発表は「NTTスマートコネクトの動画配信システム」「MXテレビのサイマルアプリ・エムキャス」「東芝テレビ視聴サービス”みるコレ”」の3つ。それぞれ非常にタイムリーで新鮮なテーマの発表となった。また今回も50名程度の出席者となり、本勉強会参加者の熱心さが感じられた。

 

⚫️安定したインフラに支えられた動画配信システムを提供、NTTスマートコネクト

NTTスマートコネクトは、NTTグループ内のシステム会社で様々なメニューを持つが、動画配信システムにはとくに長らく取り組んできて実績がある。本社は大阪だが、今年東京でも拠点を持つことになったとのことで、横山氏、元木氏、園田氏により発表が行われた。

 

特徴はやはり、NTTグループとしてのネットワークの安定性、安心感。ゼロからストリーミングをはじめてみたい企業から、テレビ局のように豊富なコンテンツを持つ企業の本格的な配信システムまで多様に対応できるという。また動画配信はeラーニングのような教育事業者のニーズも増えており、簡単にネットワーク授業ができるパッケージから、本格的な講義映像の配信のシステム構築まで幅広く対応しているそうだ。

テレビ局の配信のバックアップも実績があり、春の高校野球の配信でも同社のシステムが使われている。去年からは放送と同時にネット配信することで業界でも大きな話題になったが、その配信も同社の安定性の上に成り立っていたのだ。

さらに、ラジオの配信をインターネット化してアプリ形式で聴取できる「radiko」も同社のシステムが支えており、放送業界が多い参加者にはこれがいちばん響いたようだった。

NTTスマートコネクト社は東京支社開設を機に、在京キー局はじめ関東の企業にも積極的にアピールしていきたいとのことで、興味があればコンタクトしてみるといいだろう。

→NTTスマートコネクト社WEBサイト

 

⚫️東京MXテレビのサイマル配信アプリ「エムキャス」

2つ目の発表は、東京MXテレビの茅根氏に来ていただき、同局が取り組んでいるサイマル配信アプリ「エムキャス」について話してもらった。この試みは、今年2015年7月からリクルート社と共同での実証実験としてはじめているものだ。すべての放送ではなく、もろもろの条件をクリアした番組に限定されており、同時再送信される状態は時間による。また、条件をクリヤしたものが少しずつ増えてもおり、来年春まで取り組みを続けるという。

アプリのダウンロード数はすでに44万に達しており、男女比は7:3で男性の方が多い。この時点の番組数は35で、1日5時間程度の番組が配信されているそうだ。

非常に生々しい苦労談も聞けた。生の情報番組で使用する写真などの素材で、どうしてもネット配信について許諾が取れないものも多く画面に登場する。そういう場合は、スタッフがリアルタイムに”フタ”をするのだそうだ。画面になんらか処理をするわけだが、聞いているだけでヒヤヒヤする作業だ。

また「5時に夢中」のような番組は他の独立局にもネットワークされている。放送されている地域ではもちろん事前にきちんと交渉して承諾を得たりもしたそうだ。放送局がサイマル配信に取り組む際の”実際”が多様に聞けて面白い発表となった。

エムキャスは4月までの実証実験なので、終わったところでまたお話が聞ければと考えている。

どんなものか、興味ある方は、ダウンロードして試してみるのがいちばんだ。

→エムキャスのサイト


⚫️テレビで番組をもっと選びやすく!東芝「みるコレ」サービス

最後は東芝のテレビREGZAの開発リーダー・片岡氏が登壇し、その最新の視聴サービスである「みるコレ」についてプレゼンテーションしてもらった。 

 

 最初に開発の背景として、片岡氏が考える番組提示の手法の進化を語った。いまは検索の時代からキュレーションの時代になっており、プログラムによるレコメンデーションから人によるキュレーションが必要になっていると考えているとのこと。キュレーションの具体化が「みるコレ」であることを説明した。

例えば「アニメ」を録画する際、単純にアニメ番組だけをどんどん録画すると、子供向けのようなものも録画されてしまう。もっと個人の好みに近づけた録画には「みるコレ」のパックを選べばよいという。

このパックは、マニアが自分で作ったものを共有したりできる。様々なパックから自分に合ったものを選べばいいのだ。キュレーションには東芝のスタッフが作成したリストもあり、片岡氏がリスト作成に使うエクセルも披露してそのマニアックぶりにどよめく場面もあった。

最後に片岡氏からテレビ局への提案のような形で、放送の見逃しサービスを取り込んだテレビ受像機のイメージも披露された。これは、今後のテレビ視聴についてテレビ局にとってもテレビメーカーにとっても、そして視聴者にとっても有益な考え方ではないかと感じた。

→東芝「みるコレ」サイト

 

⚫️配信の時代、気になるエリア制御の問題

さて今回の3つの発表は、こちらとして仕組んだわけでもないのだが、3者とも配信に関わる部分があった。参加者のある人物から、発表が終わるたびに「エリア制御は可能ですか?」との質問が出たのが面白かったが、いま配信について様々なプロジェクトがリアルに進んでいる中で、エリア制御は非常に重要なファクターになりそうだ。その質問者も、そういった問題提議の意味を込めていたと思われる。放送と同時にサイマル配信する際、あるいは見逃し視聴サービスをVODとして行う場合、エリア制御ができないと日本の放送業界では摩擦が起こりかねない。

そして3者とも、エリア制限は可能だとの回答。すでにやっているとの回答もあった。技術はすでに、十分に対処できるレベルにあるのだ。そのことは今後、業界でも浮上していくことだろう。




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