テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2015年07月号

ソーシャルテレビアワード2015発表!大賞は「バーチャル高校野球」(朝日放送)!〜ソーシャルテレビは定着期を迎えたのか〜

2015年07月24日 08:40 by sakaiosamu

勢ぞろいした受賞者。『金曜ロードSHOW!』からスタンリー君も参加した。

2015年7月21日、六本木アカデミーヒルズにてソーシャルテレビアワード2015の発表会が開催され、大賞に「バーチャル高校野球」(朝日放送)が選ばれるなど、多様で意欲的な企画にそれぞれ賞が贈られた。

受賞企画は以下の通り。

【大賞】 『バーチャル高校野球』(朝日放送)
【日経デジタルマーケティング賞】  『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ)
【日経エンタテインメント!賞】  『ごめんね青春!』(TBSテレビ)
【特別賞】  『マジック新世紀セロ 生放送SP』(フジテレビ)
【広告賞】  『NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST』(日産自動車×TBSテレビ)

 

このアワードは2012年から毎年日経BP社が選出しているもので、今年で4回目。スマートフォンをセカンドスクリーンとして活用することで新しいテレビ視聴スタイルが出てきた中、それをどう活かして放送局が新しいコミュニケーションを活性化するのかを念頭にスタートした。「日経デジタルマーケティング」と「日経エンタテイメント」の二誌が関わる形で開催されている。そこには、新しいテレビの楽しみ方と、新しいマーケティング手段と、二つの意義を同社が持たせようとしていることが感じられる。

審査員は、日経エンタテイメント編集委員としてメディアでもおなじみの品田英雄氏、ソーシャルメディア界のオピニオンリーダーとして知られるアジャイルメディア・ネットワーク社の徳力基彦氏、日経エンタテイメント・日経デジタルマーケティング両誌の編集長ら。そして今年から私にもお声がけいただき、ソーシャルテレビ推進会議の運営者として加わった。

今年は大賞に朝日放送の企画が選ばれ、在京キー局以外では初の受賞。そもそも、これまで在阪局を含めてローカル局には候補作選出を依頼していなかったのだが、私が推薦することで多くのローカル局からもノミネートが集まった。去年までで在京キー局の事例が出そろった中で、いいタイミングだったと言える。

朝日放送のチーム。今年から連携する朝日新聞の担当者も参加した。

『バーチャル高校野球』は長年、夏の高校野球の放送に取組んできた朝日放送が、ネットでできる施策を盛り込んでつくったサイト。野球中継を同時再送信でネットでも視聴できるようにしただけでなく、投手や打者の目線など、視聴者側でアングルを選んで楽しめたり、ハイライト映像を自分で作れるなど、ネットのよさを最大限に活かしている。期間中のユニークユーザー数は1000万にのぼったとのことで、視聴者からも好評だったようだ。地上波での放送とは別にスポンサーを獲得し、ネット配信だけにCMをつけたのも評価されたポイント。ビジネスとしても十分ネット配信が有効であることを示してくれた。

全スタッフが壇上にのぼった『金ロー』。チームワークの良さが感じられた。

日経デジタルマーケティング賞の『金曜ロードSHOW!』は言わずと知れた日本テレビの金曜夜の看板番組だが、ソーシャルメディアの活用でも以前から注目されていた。もともとこの番組では『天空の城ラピュタ』の「バルス祭」が有名なように、視聴者側が勝手にソーシャルメディアを活用して盛り上がっていた経緯がある。そうした視聴者をさらに活性化させるべく、会員制サイト「金曜ロードシネマクラブ」を開設し、視聴しながらスマホで楽しめる様々な仕掛けを用意。視聴者の共有感を高めるとともに、ポイントやスタンプを通じて継続的な視聴をうながす施策を次々に行った。単純に一回の視聴で盛り上がるのではなく、ファンを醸成する広い意味でのソーシャルテレビを実現していた。

TBSの『ごめんね青春!』チーム。磯山晶プロデューサーは宮藤官九郎氏と長年組んでいる。

日経エンタテイメント賞の『ごめんね青春!』は高校を舞台にした物語にふさわしく、あらゆるソーシャルメディアをフルに活用して話題になった。とくにInstagramで出演者たちが自ら写真をアップし、さながら本当の高校生活がソーシャルメディア上で再現されていたのは画期的だ。 視聴者があたかもドラマの中の高校の同級生であるかのような一体感が演出でき、視聴の楽しみに奥行きを与えた点が評価された。

受賞の舞台で突如、マジックを始めたセロ氏。驚きの結末で会場の度肝を抜いて楽しませてくれた。

特別賞の『マジック新世紀セロ 生放送SP』は、都内に突如出没したセロ氏がマジックを披露する様子を生放送で追いかける番組。これと並行して、あらかじめ制作したマジックの種明かし映像を、生放送の様子と連携させて配信。テレビとネットを両方見ることで、マジックが立体的に楽しめるダイナミックな企画となった。フジテレビのサイトへの秒間アクセス数が過去最大値を記録し、YouTubeLive上での種明かし映像は放送中に60万回を超えたという。

TBSに加えて代理店のTBWA/HAKUHODO、そして日産スタッフも壇上に集合し、一致団結した様子が感じられた。

今年初めて設けられた広告賞に選ばれた『NISSAN×リアル脱出ゲーム』は、番組と連動した長尺のCM企画。「暗号解読班を選出する」という設定で、連続ドラマの進行と並行して視聴者への「採用試験」を実施した。合格した1名がドラマの最終話に出演し日産NOTEがプレゼントされ、ドラマとCMの世界が交錯する斬新な内容が評価された。


●受賞作から見えてきた、ソーシャルテレビの新しい局面とは・・・
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