テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2022年01月号

2月16日ウェビナー「ローカルANDグローバルの方法論」開催!

2022年02月01日 19:56 by sakaiosamu

今回はウェビナー開催のお知らせ記事だ。2月16日17時からの「ローカルANDグローバルの方法論」と題したZoomによるウェビナー。このテーマにした理由を解説したい。

長谷川朋子氏は、日本コンテンツの海外展開や欧米の放送業界、新進のVODサービスなどに詳しい放送ジャーナリストだ。この手の情報におそらく日本で一番通じていると言っていいと思う。海外の展示会にも頻繁に足を運び、欧米の記事から伝わる最新情報もいち早く入手している。
そんな長谷川氏が昨年10月に出版したのが「NETFLIX 戦略と流儀」だ。タイトル通り、いま何かと話題のSVODサービス、NETFLIXが躍進した背景がよくわかる本。ある程度わかっていたつもりの私も知らなかったこと、言われていたことのさらに奥まで書かれている。NETFLIX研究の最先端の書だ。

これ以上説明するより、とにかく読んでもらいたいところだが、この本にはNETFLIXの話だけでなく、コンテンツビジネスに関する至言に満ちており、それも大きな魅力と感じながら読んだ。

例えばP40にこんなことが書かれている。

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イギリスの調査会社のアナリストの言葉として上のような一文が紹介されている。「潜在的なファンを掘り起こすには英米以外の国のコンテンツが鍵を握る」という点だ。すでに韓国作品「イカゲーム」や「地獄が呼んでいる」が世界的ヒットになっているし、スペインの「ペーパーハウス」をはじめ英米以外のコンテンツがいかにNETFLIXの大きな魅力になっているか。ユーザーなら感じているところだろう。
NETFLIXが急成長したのは、彼らがハリウッドと違ってどの国のコンテンツでも優れたものならどんどん開発してきたことだ。今後はもっと加速するかもしれない。
これは、いまコンテンツビジネスが世界的に激変していることを表している。これまで、国境が大きなハードルとなっていた。唯一アメリカだけが国境を乗り越えるパワーを持っていたが、その「格差」が低くなりつつあるのだ。同時に、私たち日本のコンテンツビジネスも「カギ」を握れるかもしれない。あるいは日本発のプラットフォームを構想する上でも重要だ。自分たちの国のサービスを、自分たちの国内だけを対象に、自分たちの国のコンテンツだけを売る場だと考えがちだが、それでは成長できないということだと受け止めた。

もうひとつ、P44のこの話も興味深い。

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10年ほど前、SNSを使いはじめてこれが何かわかった時、今後はSNSがコンテンツ選びの核になる!と私は直感した。2010年代後半からその傾向がはっきり出てきた。「シン・ゴジラ」「君の名は。」「カメラを止めるな」「ボヘミアン・ラプソディ」など映画興行がSNSに大きく左右される例が出てきた。NETFLIXやアマゾンプライムのコンテンツも最近見ていると、SNSが火付け役になる、SNSを通じて作品を知ることが当たり前になっている。
私自身「愛の不時着」「梨泰院クラス」などの韓国ドラマは、SNSであまりにホットになっていたので見たくなってしまった。意外にNETFLIXご自慢のレコメンデーションだけでは効かず、むしろみんなが盛り上がっているから見るのだ。これは実は、子どもの頃にテレビ番組を見た理由とさほど変わらない。クラスで話題になってるから「仮面ライダー」を見たのと同じ現象が、SNSでもっと広い範囲で起こっている。
今後のコンテンツビジネスではSNSが欠かせない。プロデューサーなど関わる人たちが直接発信することが必要だ。VODだからこそだが、VODだけの話ではない。上の調査結果はそれを如実に示している。

最後に紹介するのが、P85に出てくるこの概念だ。

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簡単に説明すると、「ローカルAND THENグローバル」は国内市場でヒットしてから、では海外市場を目指すか、という考え方で日本のコンテンツはほとんどこの考え方だった。そして海外に出すと「日本のようにはヒットしない。文化の壁は厚い。」となる。
「ローカルORグローバル」は、国内市場向けとは別に「海外に出すならこういうコンテンツでは?」と考えて作るもの。一部では日本でもこういう試みがなされていた。
そして「ローカルANDグローバル」とは、最初から海外市場に出す前提で国内市場に出す。場合によっては国内と同時に海外でも見てもらう。そんな考え方。今後はこうするべきではないか、と私は受け止めた。
そしてNETFLIXのようなグローバルなサービスでは、むしろ意識すべき考え方だと言える。韓国発のヒットコンテンツは、どうやらそもそも、こう考えて作っているようだ。
ドラマや映画に限らず、これからのコンテンツビジネスはこうあるべきではないだろうか。「AND THEN」では国内市場ばかり見て作るので、国内で当たったからと言って海外市場で当てるのは運任せだった。それが可能なのはハリウッドだけだろう。
「AND」の考え方では「こういうストーリー展開で国内ではいいとして海外ではどうだろう」そんな議論になるだろう。最初からそう考えておかないと、海外でヒットするわけがないのだ。
私はこの部分に非常に啓発され、またこの考え方をもっと掘り下げたり多くの人と共有すべきだと思った。

今回のウェビナーを企画したのは、そんな思いからだ。長谷川氏に、新著の概要をお話ししてもらった上で、「ローカルANDグローバル」の考え方を解説してもらう。

関西テレビの岡田氏にそのお相手をお願いしたのは、同局がこの「ローカルANDグローカル」に取り組んでいるからだ。ここまでやり取りした中でご本人は「そんなにきれいにやれているわけではない」とおっしゃっているが、少なくとも戦略の一つに「AND」はある。
キー局だとどうしても国内市場を最優先せざるを得ないだろう。でも関西の雄だからこそ、キー局とは違う考え方を取る必要がある。それだけではないだろうが、「ローカルANDグローバル」はいくつかあるであろう関西テレビのコンテンツビジネスの重要な考え方のひとつではないか、と思う。
そしてまた、在阪キー局という、いわば「一番大きなローカル局」だからこそ、キー局にとってだけでなくローカル局にとっても参考になるお話が聞けるはずだ。「うちは小さな局だからドラマなんて作ってないし」と言うローカルの人もいるかもしれないが、それではこれからの荒波を乗り越えていけない。報道局が作るドキュメンタリーだって海外展開を視野に入れて作る、それくらいの広い視野と野心を持つべきなのだ。現にNETFLIXではドキュメンタリーがひとつの大きな人気コンテンツになっている。世界中の小さな組織の作り手たちが、海外へ向けて自分たちのメッセージを発信しているのだ。
いま来ているのは、そういう時代の変化だ。そんな話もウェビナーでできればと思う。

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