テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2021年11月号

「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第1回で何が話されたか

2021年11月22日 14:43 by sakaiosamu


画像:「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」配布資料より

Introduction
岩井義和氏からの久々の寄稿。11月8日に初会合が行われた総務省主催「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」は、これまでの「放送を巡る諸課題に関する検討会」に代わる会議体として、何をテーマにするのか注目されていた。リアルな傍聴ができない今、音声のみのネット傍聴をリポートするのは大変だが、岩井氏が自分で作成したメモから原稿の形に整えてくれた。貴重な内容なのでぜひ、熟読いただきたい。冒頭の大臣の挨拶から、かなり踏み込んだ内容だったようだ。 

 

 

 

書き手:岩井義和

(略歴:東京ニュース通信社⇒アクトビラ⇒TVision Insights⇒J:COM⇒IIJ )
yoshikazu.iwai@gmail.com

会議傍聴の所感

11月8日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第1回が開催された。本会議は、主な論点として「放送ネットワークインフラの将来像」、「放送コンテンツのインターネット配信の在り方」等を、来年3月に1次取りまとめ、7月に2次取りまとめのスケジュールで検討するものだ。
 
第1回は、大臣・副大臣等が冒頭挨拶。金子大臣は「地上波については、地方において、従来の放送NWインフラの維持が困難な状況にあり、早急な対応が必要」、中西副大臣は「放送がこれまでの枠に囚われていては、視聴者の様々なニーズに応えることが出来ないとの問題認識を持っている。放送用NWインフラについても、時代の変化を見据え、効率的なコスト構造への転換を図っていく検討が必要」として、全国3000局のミニサテ局等の維持管理を、局間の共用はもとより、通信に代替する方向性の議論も是とした発言をしたと、筆者は捉えている。
 
各委員の発言を聞いた個人的な所感としては、地方局の合従連衡を進める為のマス排の改定や、現行の放送NWを通信(5G・固定等)へ置き換えを図るにあたっての費用捻出のお題目(放送の公共性、持続可能性、BBユニバ議論との連携等)を委員が述べたこともあり、事務局による事前のインプット、青写真がよく描かれているのではないかとの印象を持った。(報告書の落し所は想像がついていないが…)
 
維持管理が困難となってきたミニサテ局から各家庭へのラストワンマイルを、放送波を、どのように家庭に届けるのか。
同種の話、固定電話においては、NTT法にて、条件不利地域における「あまねく提供義務」や「自前設備設置義務」等がNTT東西に課せられてきた。
公社独占時代は、不採算エリアの赤字も、NTT内の内部相互補助で賄うことが出来ていたが、通信の自由化以降の競争で、内部相互補助での維持は限界となった為、ラストリゾート義務を負い撤退不可なNTT東西への救済措置として、2002年からユニバーサルサービス制度が稼働することとなった。
現在、総務省において、固定ブロードバンドサービスをユニバの対象にすべく議論が進められているが、条件不利地域でサービスを維持する事業者への交付金をどう捻出するか、交付金の元となる各事業者からの負担金をどのように集めるか、ひいてはエンドユーザにどう転嫁するか、大きな課題が残っている。
 
放送においてはどうか。各局のミニサテを、NHKを中心に集約し、NHK受信料を軸としたユニバ的な維持に切替えることが可能なのか?その場合、現行の受信料制度にどのような改定が必要なのか。
放送波で届けるよりも、固定網のマルチキャストやケーブルの延伸、あるいは固定・携帯波でのユニキャストの方が経済合理性がある場合、これらを柔軟に選択可能な制度とするにはどうすればいいのか?
放送技術、放送行政の素人ながら、行く末を注意深く見守っていきたいと思っている。
 
ということで前置きが長くなりましたが、本編の第1回、意見交換のメモとなります。(※逐語録ではなく、筆者の意訳となります。予めご了承ください。)

デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(第1回)
日時:令和3年11月8日(月)10:00~12:00
資料:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital_hososeido/02ryutsu07_04000282.html

岩井氏作成の会議レポート

 大臣等あいさつ
(金子大臣)
・視聴者のテレビ離れや、ネットによる動画視聴の進展など、放送を取り巻く環境は急速に変化しており、時代の要請に応えていくため、既存の枠組みに囚われない変革が求められている
・特に、地上波については、地方において、従来の放送NWインフラの維持が困難な状況にあり、早急な対応が必要
・また、一部事業者にて開始しているネット同時配信も、更に進めていく必要
・一方で、放送は災害時の重要な情報伝達手段となっているなど、その社会的役割については、引き続き堅持していく必要
・私の地元・熊本でも、平成28年の熊本地震、昨年の球磨川氾濫等の災害があったが、この際に役立ったのがテレビやラジオの情報。本検討会で、デジタル時代において放送が果たすべき社会的意義・役割とは何か議論頂き、時代の変化に対応した放送の将来像はどうあるべきか、そのビジョンを関係者で共有し、それにそった放送制度にする必要

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