テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2021年06月号

まだ間に合う!NHK技研公開2021はこう見ろ

2021年06月22日 20:30 by sakaiosamu


※画像は「NHK技研公開2021」トップページョリ

2年ぶりの開催となったNHK技研公開は今年、初のオンライン開催となった。筆者も含め毎年この時期に砧に行くことを楽しみにしていた人は多いだろう。オンライン開催だってもちろん見るぞ!と思ったものの、いつもリアルな展示で見ているものをオンラインで見るのは少々勝手が違う。そこで、NHK技術研究所の方にお願いして、リモートで解説をお願いした。直接聞くとやはりよーくわかる!そこで読者の皆さんにも、技研の皆さんの解説をもとに技研公開ツアーをお届けしよう。見えてくるのは、「公共メディア」の未来像。これを読んで、あなたも自分で見て回って体感して欲しい。

テーマは10年後のさらに先のテレビ

今年の技研公開をいきなり見ると、「けっこうぶっ飛んでるなあ」という印象を持つかもしれない。毎年少し先のテレビのあり方を展示していたが、今回は未来感がかなり強い。

それは今回の展示が、初日の6月1日に発表した「Future Vison 2030-40」をベースにしているからだ。前提が、「10年後以降のテレビ」なのだ。

そして3つのテーマも重要だ。「イマーシブメディア」「ユニバーサルサービス」「フロンティアサイエンス」。この3つの柱を知った上で技研公開のWEBサイトを見ると、17の展示が3つに色分けされていることがわかる。

https://www.nhk.or.jp/strl/open2021/index.html

いきなり17の展示を前にするとたくさんあって戸惑うが、3つの色分けを知ると入りやすい。まずは「イマーシブ」を一通り見てもいいし、3つのうちの主だったものを巡るのもいいだろう。

これだけでも入りやすくなると思うが、3つのテーマの意味をもう少し解説してみよう。

「イマーシブメディア」が今年の鍵

3つのテーマの中で「イマーシブ」という言葉は聞きなれない、という人が多いかもしれない。私はZoomの新機能「Immersive View」を通じてこの言葉を最近知った。Zoomの場合は、参加者が同じ画面上に並ぶビューのことだ。日本語のメニューでは「没入型ビュー」と表示される。

「没入できる、実体験のように感じる」が「immersive」の訳語で、没入・体感と受け止めればいい。技研公開での「イマーシブメディア」は今年のキャッチコピー「究める技術、高まる体感。」にあるように、「体感するテレビ」と解釈できる。今年の展示の鍵が、この新しい概念「イマーシブ」にあるのだ。3つのテーマは並列というより、まず「イマーシブメディア」があり、そのための「ユニバーサルサービス」「フロンティアサイエンス」と捉えるとわかりやすいと思う。

つまり今年の技研公開では10年後以降のテレビを「体感できるメディア」と考え、それをユニバーサルに提供し、そのための技術のフロンティアを開拓している、ということだ。

「イマーシブメディア」の最たる事例がこの展示「空間共有コンテンツ視聴システム」だ。


※画像はこのページよりhttps://www.nhk.or.jp/strl/open2021/tenji/1/index.html

離れた場所にいる人同士で同じコンテンツを一緒に体感することができる。コンテンツを臨場感を持って楽しめるだけでなく、他の人と同じ場所で同じものを体感できるのだ。1つ目の映像でそれを疑似的に「体感」したあと、2つ目の映像では研究員の解説も体感できる。

今回の技研公開では、砧でリアルに展示される時と同じように研究員の解説を聞くことができるのも特徴だ。これもひとつの臨場感と言えるだろう。

次にこちらの展示では、視野を映像で埋め尽くすまさに「没入型」のディスプレーが紹介されている。


※画像はこのページよりhttps://www.nhk.or.jp/strl/open2021/tenji/5/index.html

以前の技研公開で「巻ける4Kディスプレー」を見た人は多いだろう。あれを3枚縦に並べて視野を埋めてしまう、まさに没入型VRディスプレーだ。ここでは街を走るトラムの操縦席での視界を再現している。実際に街をトラムで走っている感覚を「体感」できるのだ。

さらに「いす型触覚デバイス」で映像と同期させて揺れなども体感できるので、本当にトラムに乗っている感覚になる。

こうした「イマーシブメディア」の展示を見た後は、「ユニバーサルサービス」「フロンティアサイエンス」の展示も見て欲しい。

「ユニバーサル」では、コミュニケーションロボットの展示が楽しい。


※画像はこのページよりhttps://www.nhk.or.jp/strl/open2021/tenji/10/index.html

ロボットも以前の技研公開でも展示されていたが、より進化させる試みをしている。こちらが話しかけなくても、勝手に感想を言ったり、質問をしてきたりするのだ。まさに、家族や友人とテレビを楽しむ気持ちにさせてくれそう。

ここでの「ユニバーサル」はお年寄りや障害を持つ人のため、ということから概念を広げ、いろんな人に様々な手法でコンテンツを楽しんでもらうことを意識しているという。

「フロンティアサイエンス」ではこの展示で新しいホログラフィー技術を見ておくといいかもしれない。


※画像はこのページよりhttps://www.nhk.or.jp/strl/open2021/tenji/11/index.html

ただし、私のような文系人間には正直、難しくていまひとつ呑み込めなかったが。おさえておく、というレベルでいいかもしれない。

テレビかネットかを意識させないコンテンツ提供

さて、テレビとネットの横断業界誌MediaBorderの視点では、テレビとネットの融合をテーマにした展示に興味が湧く。そのひとつがこの映像だ。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

InterBEE「異業種に学ぶビジネスモデル革命・延長戦」を延長した記事

2021年01月号

これからのテレビ局のあるべき位置が見えてきた?〜INTER BEE CONNECTEDセッションより〜

2020年11月号 vol.66

映画「はりぼて」に込められた後発局の忸怩たる思い

2020年09月号

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2021年10月号

緊急事態宣言は10月1日に解除された。世の中には平穏な空気が流れる。メディ...

2021年09月号

コロナ禍はゆっくりピークアウトに向かうように見える。だが新種株などまったく...

2021年08月号

ゲリラ豪雨が突如ある地域を襲うように、メディアの天気は移ろってゆく。快晴と...