テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2021年05月号

キー局決算から読み取る、これからのテレビ局の生き残り方

2021年05月17日 13:05 by sakaiosamu

各局ともタイム・スポットともに大幅減

先週、在京キー局の決算が出揃った。MediaBorderではここ数年、「放送収入」に絞って決算内容を検証してきた。ここでいう「放送収入」とは、番組が放送されることで得られる広告収入のことだ。「放送収入」にはいくつかの考え方があると思うが、ここではタイムとスポットのCMセールスの売上高と定義している。テレビ局のメイン収入となる金額だ。決算説明資料で各局ともタイムとスポットに分けて数字を発表しているので、取り出して並べやすいのもある。(フジテレビはタイムをネットとローカルに分けて発表している数字をこちらで合計した金額にしている)

シンプルにタイムとスポットの売上を表にしたのが上の画像だ。2020年度はコロナ禍の影響が明らかに数字に出ている。ほとんどの数字が前年比10%以上の減少となった。例外として、タイム収入で日本テレビ、テレビ東京の減少率が10%内に収まった。とくに日本テレビは3.7%と小さなパーセンテージで済んでいる。

決算説明資料を読むと、どの局も上期に大幅減に見舞われて、下期で少し持ち直している。その持ち直し方が多少の差異につながったのだろう。これについては記事の後半で掘り下げる。

制作費も大幅減でいいのか

2020年度在京キー局制作費

もうひとつ、決算説明資料で注目したいのが制作費だ。こちらも軒並み大幅減。ただここでも局による差異が少しある。テレビ朝日とフジテレビの減少率が20%強と激しい。とくにフジテレビはテレビ東京を除く4局の中でもっとも制作費が低い局になってしまった。番組に潤沢な予算を使うのがフジテレビだったのに、時代の変化を感じる。

テレビ局の制作費はテレビ東京以外、1000億程度あったものだが隔世の感がある。売上の急減からすると仕方ないように見えて、製造業と違うのは売上が減っても番組の数は減らないので、番組単位の予算がそのまま1割2割減っていることになる。それでいいのか。ベテランのタレントのギャラを抑えるのはまだわかるが、番組制作業界全体が成り立たなくなりかねない。

畑の違う広告制作業界に身を置いた者として言っておきたいが、テレビ局社員の高収入は制作会社を安く仕切ってきたおかげだ。業界が成り立たないような制作費で、放送業界全体の未来はあるのか。収益の制作会社への還元などを真剣に考えないと、優秀な制作会社がNetflixなどに逃げていくだけではないだろうか。

局により減少額に差異がある

さてここからはもっと詳細に放送収入の変化を考察したい。

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