テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2021年04月号

sodaneを通じて知るローカル局がキュレートメディアをやるべき理由〜北海道テレビ・阿久津友紀氏インタビュー

2021年04月05日 13:14 by sakaiosamu
2021年04月05日 13:14 by sakaiosamu

HTB北海道テレビは注目度の高いローカル局だ。大泉洋とともに全国レベルの人気番組となった「水曜どうでしょう」を擁し、独自に番組をネット配信したり早くからインバウンドに取り組むなど、多方面でローカル局のロールモデルとなってきた。筆者もMediaBorderで「LOVE HOKKAIDO」を取材したほか、Yahoo!ニュースでは2019年にドラマ「チャンネルはそのまま」についても記事にしている。

北海道ローカルのドラマでも、その面白さを海外に配信できる〜「チャンネルはそのまま!」製作裏話〜

HTBの様々な活動を取材してきたつもりだったが、また新しい動きを発見してしまった。

sodaneというキュレートメディア、ローカル局によるオウンドメディアだ。

画像1

筆者はかねてから、ローカル局は自らネットメディアを立ち上げるべきと唱えてきた。テレビ局は毎日毎時間、番組を放送するが一度放送したらおしまいだ。ドラマやバラエティは「見逃し配信」の形がようやく定着してきたものの、ローカル局が毎日放送する情報番組はそうした二次利用が難しい。

だがローカル局の情報番組はその地域の最新の深掘り情報の宝庫だ。内容をテキスト化して記事形式で配信すればその地域にとって役立つメディアになるはず。ネットメディアが悩んでいるのはコンテンツ。テレビ局はネットメディアから見るとネタの塊で、だから放送後にコタツ記事が出てPV数を稼いでいる。だったら自分たちでメディアを運営して、放送された情報をどんどん記事にすべきだ。頑張れば広告ビジネスが見えてくる。

講演などの機会にそう力説してもなかなかピンときてくれる人は少ない。いたにしても、これを運営するには会社としての後押しが必須。具体化する局は少なかった。

そんな中出会ったsodaneはまさに筆者が主張してきたもの、いやそれを超えたものだった。思わず「こういうことだよ!」と叫んでいた。

阿久津さん1

中心人物はHTBのネットデジタル事業部副部長、阿久津友紀氏。乳がんの闘病記でも話題になった人物だ。経緯を聞くと、なるほど!と感心することがいっぱいで、HTBが会社として持つスピリットの反映なのだとも思った。ぜひじっくり読んで参考にしていただきたい。

※MediaBorder購読者が参加できる勉強会「ミライテレビ推進会議」では4月21日のオンライン会合で阿久津氏にsodaneについてお話しいただきます。参加方法は、記事の最後をご覧ください。

-sodane発案のきっかけを教えてください。

2018年にアメリカ国務省が主催するリーダーシップ研修に参加しました。25カ国から参加者が集まって、アメリカと自国のメディアの違いと、新しいメディアを学ぶものです。大都市の大きなテレビ局からテキサスの小さな局、ケーブルテレビも回りました。そこでキュレートメディアの必要性を感じたのです。

アメリカでは放送局がネットメディアを持つ例が多く、テレビの記者が自分の目線で書いた記事を配信しています。自分のFacebookページも持っていてニュースとリンクしている。記者個人のコミュニティがベースなんです。各地域で新聞がうまくいかなくなっていて、放送局がファンを作らなければ報道が成り立たない。同じことを日本でも、地方局が絶対やらなければと思いました。

-では研修から戻ってさっそくやりたいと言ったわけですね?

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