テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2021年03月号

都会のテレビ制作者の苦境と地方の衰退、二つの課題を解く鍵「大山モデル」:後編〜脇浜紀子氏寄稿〜

2021年03月12日 09:07 by sakaiosamu


※トップ画像:大山オフィスを率いる総合プロデューサー貝本正紀さん

Introduction
京都産業大学教授、脇浜紀子氏による鳥取県大山(だいせん)町の大山チャンネルへの取材レポート、後編。独自のコミュニティ運営の秘訣や、そこに見てとれる新しい価値など、地域メディアについて研究してきた脇浜氏らしい熱のこもった記事となった。ぜひお読みいただきたい。(前編はこちら)

 

 

書き手
脇浜紀子
京都産業大学 現代社会学部教授

 

<”どうせ田舎のテレビ”ではない大山モデルの秘密>

大山チャンネルがこれだけの住民を巻き込み、5年以上事業を継続できている最大のポイントは、番組制作における地上波キー局クオリティの担保だと筆者は捉えている。

あらゆる番組制作の仕事を住民にやってもらっていると前編で紹介したが、実は編集については貝本さんはじめアマゾンラテルナのスタッフが行なっている。さらに、音響効果や選曲などの最終のMA作業は、東京の音効会社に依頼している。つまり、最後の仕上げの部分はプロが担っているのだ。これにより、シロウト集団の制作した荒削りなコンテンツが、全国ネット番組クオリティの仕上がりとなる。実際、いくつかの番組を見たが、仕上がりにおいて、地上波ネット番組と全く遜色はない。様々なエフェクトを駆使した編集、色・サイズ・フォントなど状況にあわせてセレクトされたテロップ、収録音のレベル調整や効果的なアタック・BGM付けなど、わかりやすく飽きさせない番組作りは地上波テレビ制作者の真骨頂だ。貝本さんも「ダサい番組に出たいなんて思わないでしょ」と、クオリティの低い番組では特に若者には見向きもされないと話していた。住民参加の仕組みだけ作ってもうまくいかないわけだ。ハレの場としてのテレビ番組のクオリティ担保、ここにテレビマンの経験値が生きてくる。

大山チャンネル13
※オフィスの広いスペースにはEDIUSの編集PCが並んでいる


筆者が考える二つ目のポイントは、「インバウンド」を言わないことだ。
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