Introduction
11月30日に、文化庁が同時配信についての権利処理を放送と同等に扱う新方針を出したと報じられた。これまであれだけかたくなな態度だった文化庁が急に方向転換しことに誰しも驚いたことだろう。その背景は何か、そしてこれで問題は一気に解決するのか。メディアストラテジストの塚本幹夫氏に解説してもらった。一歩進んだのは間違いないが、そう簡単でもなさそうだ。じっくりお読みいただきたい。
書き手:株式会社ワイズ・メディア 取締役メディアストラテジスト・塚本幹夫
12月2日、文化庁の「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム」が報告書を提出した。9月4日の初会合からわずか3ヵ月だ。規制改革推進会議の実施計画が閣議決定されてから2年半、これまで堂々巡りの議論を繰り返し、自己満足の報告書でお茶を濁していたあの文化庁が!である。しかも内容はほぼ放送局の言い分を汲み取ったものとなっている。
専門家でないので自分の理解の範囲で見解をまとめると、今回の報告書のポイントは3つある。1つめは適用の範囲。2つめは推定精度の導入。3つめは補償金。
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