テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年11月号 vol.66

放送収入の持ち直し、ほとんど見えず〜キー局決算資料より〜

2020年11月18日 10:25 by sakaiosamu
2020年11月18日 10:25 by sakaiosamu

先週、民放キー局の決算が出揃った。毎度説明しているが、キー局はすべてホールディングス体制になったので、決算の数字を普通に見ても様々な事業がすべて含まれており単純に比較しにくい。そこで筆者はいつも連結決算ではなく単体つまり「○○テレビ」の数値に絞って見ている。その中の「放送収入」を抜き出して並べたのが上の表だ。放送収入、つまりCM枠の売上のみを、タイムとスポットに分けて表にしている。

コロナ禍の影響で大変なマイナスになっていることがわかるだろう。タイムも下がっているが、スポットの減少が痛い数字だ。第2四半期なので4月〜9月までの半年の売上。ちなみに第1四半期ではこうだった。

比べるとスポットの減少率が多少、数%持ち直している程度で大差ない。日本テレビとTBSの決算資料には月ごとの数字も載っている。それを見ると、日テレが9月のスポット減少は-18.5%、TBSは-15.3%で少し持ち直したと言えなくもない。

ただ直近のコロナ感染者の急増でまた事態が悪化するのは避けられそうにない。経済状況にもろに影響されるのが放送収入だ。下期はもっと悪くなる可能性も出てきた。今年度の放送業界がリーマンショック以上の最悪の年になるのはもう間違いないだろう。

一方、第2四半期の決算発表と同時に日本テレビが「新しい成長戦略について」という資料も公開しているのは見ただろうか?

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