2015年9月2日に日本でNetflixがサービスを開始してからちょうど5年が経った。「9月1日じゃなかった?」と指摘する人もいるだろう。正確に記すと、発表されたスタートは9月2日だった。前日、盛大な前夜祭が開催された中、夜9時ごろに当時の日本法人トップ、グレッグ・ピーターズ氏が壇上で、3時間早いスタートを宣言したのだ。だから厳密には9月1日だが、公式なスタート日は2日ということになる。
とにかく5周年となったのを機に、過去の記事をほじくり出しながら、Netflix上陸がこの国に何をもたらしたのかを振返ってみたい。
筆者は2015年2月にAdvertimes誌上でこんな記事を書いた。前もって得た情報を公式発表に合わせて公開した記事だ。
今年秋、上陸決定!Netflixは黒船なのか?VODの進路が日本のテレビの将来を左右するかもしれない
期待を込めた書き方で、日本にもいよいよ本格的VOD時代が到来するという趣旨で書いている。ただし普及するかは無料放送が強い日本ではそう簡単ではないだろうとも書いた。ここで筆者が期待したのはNetflixが普及するかどうかより、それによってVOD全体が一般的サービスになってコンテンツにとって、作り手にとって優位で良い時代になることだ。
一方、Netflixを冷めた目で見る人も多かった。テレビ局が無料で面白い番組を毎日放送しているのに、お金を払ってまで見るものかと懐疑的に言うのだ。だが日本のレンタルDVD市場は当時2000億円規模あり、そこに伸びしろがある。VODはレンタルの代替で、放送と比べるのは誤りだというのが筆者の認識だった。
9月2日、Netflixは記者たちを本国の幹部への取材にセッティングした。筆者もCEOのリード・ヘイスティングス氏にインタビューすることができた。もちろん通訳も手配してくれている。
この取材をはじめ、ローンチ週のことはこの記事に書いている。
Netflixは日本で成功する。その確信を得たスタート〜ローンチウィークを追う〜
直接話を聞いて、Netflixがしっかりした企業理念を持つことがよくわかった。そして思った。Netflixは日本で成功するかどうか、ではなく、成功するまでやる、ということなのだろうと。この時ヘイスティングス氏は「3分の1に普及させる」と言ってのけた。これは日本の世帯の中で高速回線を引いているのが3000万世帯、その3分の1に普及するまで頑張るのだという意味だ。つまり1000万世帯まであらゆる手を尽くしてそれを達成する。それがNetflixなのだ。
その後どうなったかはみなさんご存知の通り、簡単ではなかった。
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