テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年08月号

イベントレポート・ウェビナー「地上波の知らないケーブルテレビ」

2020年08月31日 14:51 by sknsdys

 8月19日、「地域とテレビの未来ウェビナー」の第二弾として、「地上波の知らないケーブルテレビ」が開催された。第57回(2019年)のギャラクシー賞の報道活動部門で中海テレビ放送『中海再生への歩み~市民と地域メディアはどう関わったのか~』が大賞に輝いたことは記憶に新しい。ケーブルテレビ局の番組の受賞は異例中の異例といえる。今回のウェビナーは、その中海テレビ放送から放送事業本部長・三浦健吾氏を招き、報道姿勢を中心にいろいろな話をNHK報道局の熊田安伸氏が聞き出すという趣向だ。

三浦氏プレゼンテーション~中海テレビ放送の取り組み

 三浦氏は1974年米子市生まれ。1999年に中海テレビ放送に入社し、報道、ディレクター、広告営業、編成を担当。20年続く街ブラ番組『出会い ふれあい そぞろ歩き』ではレポーターとして出演し、放送エリア内の有名人だ。

 中海テレビは米子市を中心とする鳥取県西部8市町村を放送エリアとするケーブルテレビ局。設立は1989(平成元)年。「出資者が重要」と三浦氏が言うように、自治体、銀行、新聞社、地元法人・個人と、特定の大株主を持たない。地域密着の姿勢はここからもわかる。現在、社員59名(派遣社員・アルバイトを含めると100名)の陣容で、58.5%のエリア内接続率を背景に、53億9千万円(2019年度)を売り上げている。エリア拡張によって売上を増やしてきたが、2018年の電力サービスの開始は売上増に大きく貢献している。ケーブルテレビ局が通信回線や電力サービスを展開することに珍しさはないが、三浦氏は「価値あるサービスを提供しお金をいただくことが経済基盤になっている」と語る。中海テレビの収入の95%が地域の契約者からのものだ。これを「給料や年金からいただいた浄財」と三浦氏は表現する。こうしたお金を、放送や地域貢献というサービスで地域に還元している。地域への還元を続けると、地域とメンバーシップが生まれていき、新しいサービスが受け入れられやすくなるという。「ただし、サービスがよくないと解約される。ゼロかイチの世界。価値あるサービスを提供し、地域貢献を続ける。これを車の両輪としてやっていかないと解約される」と、危機感を常に抱いている。同時に、今後ケーブルテレビの役割が大きくなってくとも認識している。「ケーブルテレビは地域課題を日々ウオッチしている。放送媒体、インフラ(光ネットワーク)を持っている」「逆にいえば、この役割に対応できないケーブルテレビはこれから危ない。ハードとソフトで地域に貢献していく」(三浦氏)

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