テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年08月号

「前田新会長の流儀が前面に出たな」8月4日に発表された、NHKの新3カ年計画を読んで目を丸くした〜塚本幹夫氏寄稿〜

2020年08月18日 09:47 by sakaiosamu
2020年08月18日 09:47 by sakaiosamu


※NHK経営計画(案)概要より

Introduction
NHKの経営計画案が公開された。各新聞がこれを一斉に報じたが、チャンネル削減や経費縮小を取り上げた肥大化牽制が見え見えの記事ばかりで、私たちとしてどう受けとめるべきかが見えない。そこで、放送制度問題に詳しいメディアストラテジストの塚本幹夫氏に、この経営計画をどう見るべきかを寄稿していただいた。今後のNHKはどう進むのか、前田新会長の手腕はどう評価すべきか、じっくりお読みいただきたい。

書き手:ワイズ・メディア メディアストラテジスト・塚本幹夫

ポイントは発表時の会見議事録にあり

NHKは昨年12月、NHKプラスを認めてもらうため、ネット関連事業費を縮小するとともに、BS放送を1チャンネル減らすと表明した。前田氏の会長就任はその1ヶ月後だったわけだが、前回の発表が付け焼き刃だったのに対して、今回はトップバンカーだった会長の意向が細部にまで反映されていることが読み込むほどによくわかる。(参照:NHK経営計画(2021–2023年度)(案)の概要

新聞は表層的なことしか捉えていないので、BSを将来的に1波にすることやラジオの1波返上。630億円の支出削減。受信料値下げの見送りなど、数字しか取り上げていない。結局、NHKの肥大化が嫌な新聞は、国民に向けてではなく自分達の業界に向けて記事を書いているに過ぎない。

確かに発表資料は「NHKらしさの追求」を表題にしたうえで「安全安心」「新時代へのチャレンジ」「あまねく伝える」など当たり前のお題目が並んでいるが、会長が本当に言いたいことは発表と同時に行われた会見の議事録を読まなければわからない。

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