テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年07月号

ローカル局営業に使える!属性別視聴データ「インテージAREA TV」について

2020年07月14日 18:48 by sakaiosamu
2020年07月14日 18:48 by sakaiosamu

Introduction
株式会社インテージに所属する深田航志氏からの寄稿記事。インテージの視聴ログに視聴者属性を紐づけることで、属性別の個人視聴データがまとまった数で提供される「AREA TV」がリリースされ、そのサービスを説明する内容だ。無料トライアルキャンペーンも実施中とのことで、ローカル局の営業の方はとくに読んでもらうといいと思う。

書き手:株式会社インテージ
メディアと消費研究センター 主任研究員 深田航志

約1カ月前 MediaBorderに寄稿された中京テレビ 山田さんの「流通×視聴データ×エリアマーケ~テレビCMの効果を見える化してみる」寄稿は、メディア効果調査に長年携わってきたものからみても、とても興味深い検証でした。

詳細は、当該記事(こちら)をご覧いただければと思いますが、テレビ広告の効果を、広告リーチ、来店誘導、購買(併売)など、複合的に検証されています。

以前より、テレビ由来の来店誘導・購買効果については、客数・POSの状況を日々チェックしている小売・流通の現場の間では、知られていた話でした。今回の中京テレビさんの検証で、それがデータを使い可視化できたわけです。 とは言え、この背景にも、テレビ広告ならではの、一度に大量の方に広告を届けることができる“リーチパワー”がベースにあることは間違いないと思います

2008年のリーマンショックを発端とする世界金融危機を境に、インターネット広告では、広告主に対し、広告キャンペーンの実数スコア(CPM、CPC、CPA…)による事後結果レポートを、メディア側の責任として、当たり前のこととして商習慣化してきました。

テレビ広告にも、同様に求められはじめ、視聴率以外のサード・パーティのテレビデータが広く流通するようになった・・のは、MediaBorder読者なら既知のことだと思います。

それは、事後だけでなく事前においても、さらに効果が良く、効率的な出稿計画のため、①世帯 > ②個人(性年代) > ③個人(特定ターゲット) と、広告主は自社商品・サービスの広告プランニングを追求するようになりました。

この動きに、呼応するカタチで、サード・パーティのテレビ(ログ)データは、パネル式のスイッチメディアラボ社(Smart)、Tvision insights社(視聴質)、インテージ社(i-SSP)などが登場しましたが、データの需要と供給の関係で、関東、関西エリアでしかサービス化がされていません。

※実数式のテレビメーカー(ログ)データは、その収集データ数もパネル式とは格段に大きく、全国エリアで収集できていますが、(原則)テレビ機器ベースであるため、先述の広告ニーズに適うデータになってはいません。

ただ、パネル式でも今年の4月にビデオリサーチ社の全国視聴率が拡大され、全国1万世帯(約2万人規模)規模のテレビデータがサービス化されました。

これにより、先述の広告ニーズの ②個人(性年代) は全国でレベルに適うデータとなりましたが、③個人(特定ターゲット) は、パネル数から鑑みても厳しいかと思います。

さらに決定的なことは、在名、在福、在札と、エリアを絞ってみると、全国レベル(or関東レベル)では見ることができた②個人(性年代)でも、パネルサイズが小さくなってしまうため、(F1層などで)データを見るのは、時間帯によってはかなり厳しいはずです。 

そこで、インテージが、7月10日(金)にリリースをした、「AREA TV」は、パネル式と実数式の両方の良いとこどりをしたもので、「MediaGaugeDynamicPanel(MGDP)」データを加工・集計したものをtableau(タブロー)上に搭載し、テレビ局様向けに提供する集計ツール・サービスです。

これは、全国82万人のテレビ視聴データがベースとなっているので、例えば、福岡県(単県)だけみても3.5万人分のテレビ視聴データがあり、そこに500項目以上のアンケート回答データ(例:所有自動車のメーカー、普段飲んでいるビール銘柄、普段利用する店舗)を、掛け合わせて集計することができます。

例えば、地元のIT系のB to B企業(人事サービス)が、先ずは福岡でテレビ広告を出したい!となったら、AREA TVで、「仕事内容  総務 or 人事」と回答した方が、直近1箇月で、どんな時間帯(又は番組)を視聴しているか? 手元で見ることができます。

※指標は、1)ターゲット接触率、2)ターゲット含有率、3)ターゲット(推計)視聴人数 で出力可能です。

2月末の福岡で開催されたテレビ局向けイベントにおいて、このデータを使い、今年の1月24日(金) 18:30-19:00に民放5局系列で放送された「民放同時放送企画番組」で、年収1千万以上の視聴者のエリア間比較を紹介しました。※今回は諸事情によりグラフデータおよび数表データはダミーです。ご了承ください。

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