テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年01月号

この国のテレビは、未来を選べなかった。〜2020、テレビのディスラプションが始まる〜

2020年01月06日 09:29 by sakaiosamu

2020年になった。MediaBorder読者の皆さん、明けましておめでとうございます。

そう、数日前世界は2020年代に突入した。だがこの国のテレビはどうだろう?ひょっとして2010年代のままではないか?いや下手をすると、ずーっと20世紀に留まったままだったのではないだろうか?

などと思い切りネガティブなことを明るいはずの年始に書いてしまうのも、昨年12月のNHK同時配信の決着を引きずっているからだ。いや、引きずっているというより、ここ数年世間や業界に訴えてきたことがすべて無に帰したような挫折感に打ちひしがれているのだ。

NHK同時配信騒動の意味は?

この国のテレビは、未来を選べなかった。 2010年代の終わりに、2020年に羽ばたく準備ではなく、10年逆戻りする選択を、日本のテレビ業界はしてしまった。選択をしたのは、総務省であり高市大臣だが、NHK自身でもあり、高市大臣にアピールし続けた民放連でもある。つまり日本のテレビ産業のステークスホルダーが選択したのだ。NHK同時配信は常時ではない、という選択をした。

一つのテレビ局が、同時配信を常時でできない、という結果がそこまで言うほどの大きなことなのか?と問う人もいるだろう。大きなことではないかもしれないが、日本のテレビが新しく生まれ変われるかを象徴する事象だと思う。NHKが同時配信を常時行う。たったそれだけのことを4年間も寄ってたかって話し合ってきて、ギリギリで肝心の部分を制限してしまう。そこにこそ日本のテレビ業界の20世紀ぶりが表れていたと私は捉えている。

もう、先へ進めないのだな。いやもはや、終わったんだ。というのがため息とともに漏らしたい私の感想だ。

滑稽だと感じてしまうのは、一方でいま日本中の民放が空前絶後の前年比ダウンにオタオタしていることだ。放送に回ってくる広告費がいま大幅に減っている。来年も再来年も戻っては来ないだろうし、そのことを民放経営者もすでに覚悟しているはずだ。

そうなると、もうテレビ局はネットに出るしかない。でも自分でやるのはコストがかかるし、当面はそのコストをカバーできる収入は望めない。だが間違いなく、テレビ局はこれからネットでの稼ぎ方に挑戦するしかないのだ。

だったらとりあえずNHKに先を行ってもらって様子を見てもらったり、何をどうしたらネットで視聴されるのか、データはどう収集できるのか、などなどなどをやってもらったほうがいいに決まっている。やってもらう時はいまだったはずだ。

それなのに、どうしてテレビ業界はストップをかけたのか。高市大臣に待ったをかけさせたのか。不思議で仕方ない。なぜ沈む船に新たな空気を送り込む可能性を自ら絶ってしまったのか。20世紀を生きてきた本能が止めさせたとしか思えないのだ。

少し具体的に書いてみよう。例えば1月2日にNHKで恒例の「新春TV放談」が放送された。あそこにも「今のテレビの終わり」がにじみ出ていた。

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