テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2019年12月号

日本の放送や配信事業の将来がやばくね!?と思い、「NHKのインターネット業務に対する総務省の考え方」に対してパブリックコメントを提出してみた

2019年12月12日 10:00 by sakaiosamu
2019年12月12日 10:00 by sakaiosamu

Introduction
年度内にスタートすると言われていたNHKの常時同時配信。進めていたはずの総務省から待ったがかかり「考え方」を投げかけた。これに対しNHKは予算の大幅縮小やBS波を絞るなどの回答を提示した。予算縮小で深夜と早朝の配信をやめることになるため「常時」ではなくなった。ここへ来ての”後退”に推進論者の間では大きな疑問の声が出ている。そんな声を代表して塚本幹夫氏が寄稿してくれた。一連の流れには意外に深い問題点が潜んでいる。じっくり読んで読者諸氏も考えてみてもらえればと思う。

書き手:株式会社ワイズ・メディア 取締役メディアストラテジスト・塚本幹夫

総務省vs NHK異例の乱闘戦

「NHKのインターネット活用業務実施基準の変更案の取り扱いに関する総務省の基本的考え方」やたら長ったらしいお題ですが、要はNHKの常時同時配信について、NHKが「こういう基準でやりますので認可してください」と総務省に申請したことに対する返答です。

「民放との協力、ユニバーサルサービス、国際配信、オリパラは(受信料収入の)2.5%とは別枠でよろしく」と9月に無謀なフォワード戦で正面突破を図ってきたNHKには驚かされましたが、対する総務省の反撃も、「それファールじゃないか?」と思わせる危ないプレーで、それに民放連とか新聞協会がスタンドから拍手を送るという、恐ろしい光景に目を覆いたくなりました。

結果、12月9日にNHKが白旗をあげましたが、とても両チームに拍手を送る気になれない乱戦だったのは、報道などでご存知だと思います。

さらにNHK内部では経営委員長が退任直前、イタチの最後っ屁で会長の首を1期ですげ替えるという、巷間噂されながらも「やっぱり来たか」とため息つかせる出来事がありましたが、今回それはパスして、この「総務省の考え方」に潜む危険性をつまびらかにする為、株式会社ワイズ・メディアとして総務省に提出したパブリックコメントをベースに、私の見解を申し述べたいと思います。

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