テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2019年10月号

災害時に高まる”それぞれの”テレビの役割

2019年10月15日 10:42 by sakaiosamu


iTSCOMコミュニティチャンネルの画面(10月12日)

NHKと同じくらい役に立ったケーブルテレビ

この連休中、東日本に大きな被害をもたらした台風19号。筆者も12日土曜日はどこにも出かけずその襲来に備えた。と言っても自転車を柵に縛り付けた程度で、ひたすらリビングルームに閉じこもって台風の進路や影響を見守っていただけだ。もちろんその重要なツールはテレビだった。テレビを見ながらネットでさらにチェックしたり検索したりしていた。そう、こんな時にもっとも頼りになるのはテレビだった。

必然的に主にNHKをずっとつけていた。NHKの災害への対処はつくづくよくできている。静岡から関東まで広域の状況を刻一刻と伝えてくれて、慌てずに済んだ。

ただ今回の台風ほどケーブルテレビを頼りにしたこともなかった。筆者の家は大田区の、多摩川から2kmほどの距離にある。多摩川がひょっとしたら決壊しないか、気が気ではなかった。そして筆者は東急グループが運営するiTSCOM(イッツコム)というケーブルテレビに加入している。はっきり言うが、iTSCOMに加入していても多チャンネルサービスで海外ドラマを見ることはあっても、ケーブルテレビオリジナルのチャンネル(コミュニティチャンネルと呼ばれる)を見ることはほとんどなかった。

ただこの台風ではふと思いついてコミュニティチャンネルを見てみると、2チャンネルのうちの1つで河川のリアルタイムカメラを映し出していた。多摩川と、神奈川県の鶴見川沿いにいくつか設置されたカメラの映像が、十数秒ごとに順番に出てくる。多摩川だけで4〜5箇所の映像が出てくるので、川の水量がどんな状況かがはっきりわかった。

12日の夕方には、上の写真のように多摩川にかかる橋のすぐ下まで川面が上がっていた。見ていると、いつかどこかの堤防が決壊するのではないかと思えた。するとNHKでも多摩川の水量について伝え始めた。

NHKでは様々な川の水量を伝えていたのが、いよいよその中に多摩川も入ってきたのだ。このように、地元情報としてのケーブルテレビの映像で身近な状況を定期的に確認し、やがてそれがNHKでも取り上げられることで「大きな話題になった」ことを確認する流れができていた。

さらに細かなことはTwitterでチェックする。すると、多摩川の近くに住む人びとが川の水の状況を写真や動画でアップしていた。かくしてNHK⇄ケーブルテレビ⇄SNSという情報確認作業が続いた。

夜になると民放テレビが数局ずつ、レギュラー番組を報道に切り替えたり、もともとあった報道番組を延長して台風情報を伝えた。だが筆者はテレビ東京「充電させてもらえませんか?」のファンで、これを通常通り放送してくれている方がありがたかった。「充電」を見ながらNHKとケーブルの交互チェックを続けていた。それで十分だったと言っていい。

もっともケーブルテレビはただひたすら定点カメラを順繰りに放送していただけだ。しかも妙に場違いな明るいインスト曲がBGM。いささか手をかけなすぎだ。そのiTSCOMで、一度だけアナウンサーが喋った時間があった。

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