Introduction
4月号で岩井義和氏が寄稿した「ネットワーク中立性」についての記事は、難しいテーマを大変わかりやすく解説してくれて好評だった。「いいね!」もたくさんつき、「勉強になった」との声も届いている。本稿はその続きとして「ゼロレーティング」を解説する内容を再び岩井氏がまとめてくれたものだ。これもまた、こうした技術と縁遠い人にわかりにくい事柄を、誰でも理解できるよう丁寧に書いてくれている。前回に続いてぜひ読んでもらいたい。
(前回の記事 「ネットワーク中立性」は放送事業者とどう関係するのか? はこちら)
書き手:岩井義和
テレビ情報商社、テレビメーカー系VODプラットフォーム、テレビ視聴質調査会社を経て、
現在ケーブルテレビ会社で省庁渉外や政策調査を担当。
yoshikazu.iwai@gmail.com
「ネットワーク中立性」について、前回は「優先制御を巡る議論」について書いたが、今回はもう一つの大きな論点である「ゼロレーティング」に関し、サービスの現況やコンテンツ事業者の意見も交えつつ紹介していく。
ゼロレーティングとは何か?
ゼロレーティングとは、特定のアプリやWEBサイトなど、インターネット上のサービスを利用するにあたって必要な通信料を「消費者が」支払わなくてよいというサービスモデルだ。
提供事業者によって、「パケットフリー」、「カウントフリー」、あるいは「スポンサードデータ」といった座組をあらわすものまで、呼び方は様々だが、ここではゼロレーティング(以下「ZR」)と表記する。
ZRについての政策議論、概況はご存知だろうと思う。ZRは消費者のメリットは大きい仕組みだが、ZRを利用しない人が割を食うことはないのか?事業者同士の公正な競争を妨げることはないのか?
そんな懸念に対し総務省がルール整備に乗り出したというものだが、なぜそういった懸念が出るのか、いま一つピンとこないのではないかと思う。端的には言い難いが、放送事業者にも、興味を持って頂ける内容と思われるので、以下、読み進めて頂きたい。
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