3月から4月にかけて主に新聞メディアで報道された「放送法改革騒動」。これまでここで伝えてきたように、4月16日に出てきた「放送を巡る規制改革について」の書面には、放送法4条撤廃も何も書かれていなかった。筆者は、これで騒動になった改革案も幻となったと受けとめた。だがまだわからない、改革案を出した側はこのあとも虎視眈々と機会を狙っているのだと警戒し続けた人もいたようだ。
昨日、6月4日には首相官邸で規制改革推進会議が行われ、「規制改革推進に関する第3次答申」が発表された。ここにも当然、4条撤廃も何も書かれていない。もはや当たり前だと筆者は思うのだが、例えば時事通信社がこんな記事を配信していた。
昨晩のテレビのニュースでもいくつかの局が同様の取り上げ方をしていた。いつまで「4条撤廃」の件を引っぱるのか、と思う。マスコミが気にしているだけで、読者のほとんどは「4条撤廃」と言われても何のことかもわからないだろう。規制改革推進会議の議論は放送だけでなく多岐に渡るのに、そういう伝え方でいいのだろうか。
それは置いといて、いろいろ騒動になったが、その割には答申はかなり”まっとう”な内容だ。どんな内容か気をもんでいた人でも、想定より現実的でホッと胸をなで下ろしたのではないか。
だがこの答申は、決してなんとなく参考にしましょう、というユルいものでもなく、月内には閣議決定される重みのあるものだ。個別の項目ごとに「平成31年度中に結論」などと期日と目標設定も書かれている。ほとんどは総務省が受けとめてまた会議などで議論を進めて行く必要が出て来る。結局は、宿題を放送業界が受けとめて何らか進めないといけないのだ。ホッとしている場合でもない。
具体的な答申の文書は、すでに規制改革推進会議のWEBサイトに置かれているのでダウンロードできる。
まずはぜひ、「放送を巡る規制改革」が書かれたP46〜P54だけでも読んでもらうといい。P46の「放送を巡る規制改革(背景と視点)」には最初に、放送業界の現状と課題が整理して書かれている。規制改革推進会議が本格的に放送業界を対象にヒアリングを始めたのは昨年11月以降だ。半年ほどで一通り現状認識と課題抽出ができた様子だ。ここであらためて我々が現状認識をおさらいする意味でも、ざっと読んで損はない。
以降の中で、筆者なりに気になったポイントをいくつか書いておきたい。
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