テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2018年05月号

VODはキャズムを超えたか?〜デジタルコンテンツ協会・有料動画配信市場予測より〜

2018年05月29日 10:31 by sakaiosamu

デジタルコンテンツ協会がまとめたところによると、日本の有料動画配信市場は2017年、1850億円だったという。着実に成長していると言って良さそうだ。前年比13%増で、ここ数年コンスタントに10%以上成長している。同協会の分析によると2015年Netflix上陸以降は第三次の成長期に入っているという。2022年には2600億円に達し、今後も順調に伸びていくとの予測もしている。

(同協会は毎年動画配信市場のレポートを発行しており、上のグラフもその中から許諾を得て使用している。レポート全体は同協会のサイトから購入できる。動画配信市場について念入りに調査をしたレポートだ。興味ある人は入手してみるといいだろう。→デジタルコンテンツ協会『動画配信市場調査レポート2018』ページ)

市場はどうやらいよいよ活性化しているようだ。実際、最近NetflixやAmazonプライムの名を聞くことが増えている。ただ、あくまで業界内の話であることには注意してほしい。規制改革推進会議など政府筋の会議やレポートなどでも「有料動画配信市場が伸びている」としてよく名前が登場する。だが、まだまだ既存事業者を脅かすほどの規模ではない。いまの状況をもってして、映像コンテンツのメインが放送から配信にシフトした、と言ってる人がいたら早計だ。

周りの人に聞いてみるといい。東京在住の人でも頻繁に使うという人はそうかんたんにはいないだろう。ましてや田舎のお年寄りからしたら「ネットフリックス?なんだべそりゃあ?」という感じのはずだ。そういう人びとにまで浸透しないと「テレビ放送を脅かす存在」にはなれない。

配信が伸びないと言っているのではない。一朝一夕では進まないと言っているだけだ。なにしろNetflixの日本上陸からまだ2年半しか経っていない。3年も経たないのにそうそう既存サービスを駆逐するわけなんかないのだ。

ただ、ゆっくりと着実に進むだろう。テレビ局が高をくくっているとある日突然グラグラっと屋台骨が揺るぎかねない。そこへ向かう流れは絶対に止まらない。

一方、日経新聞がNetflixとJ:COMの提携を報じた。これは中期的に大きく効くと思う。

→「JCOM、CATVでネット動画 ネットフリックスと提携 」(日本経済新聞:5月28日)

これはどう受けとめればいいだろう?

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