昨日10月10日、総務省が主催する情報通信審議会が開催された。同会議は情報通信に関する様々な課題を取り扱うが、この日の会議は「放送コンテンツの制作・流通の促進等に関する検討委員会」の第9回だった。そしてこの回はとくに「同時配信」にまつわる課題について議論が行われた。
筆者は同じく総務省が主催する「放送を巡る諸課題についての検討会」の方も都合が許せば傍聴してきた。そこでもこのところ「同時配信」が中心テーマとなっている。そしてそっちの「諸課題検討会」においては、「同時配信」の具現化はかなりハードルの高いものになりつつある。NHKが2019年に同時配信を具体化したいと表明しているのに対し、民放などが強い難色を示している状態だ。いや、なんだか不思議なことに、NHKが同時配信を進めることについて民放側が許容するかどうか判断する場になっている。本来は課題を検討する場であって、何かを決める場ではないはずだが。
とにかく「諸課題検討会」では「同時配信」について重たくピリピリしたムード、業界としてNHKを阻み、隙あらば止めようとしている空気であることを知ってもらいたい。
そっちのほうを見てきた筆者からすると、今回の情報通信審議会のほうは90度くらいちがう空気に思えた。そもそもこの回の議題は同時配信を進めるにあたっての課題をクリアしていこうという明解な意図が感じられた。同じ役所が、同じ課題を扱うのにどうしてこうも空気がちがうのだろうと不思議になった。
中でも、最後に出てきた話は、うしろに下がってばかりだった同時配信の議論が一歩だけ前へ進もうとしているのが感じられるものだった。それはいいこととして、この国の物事の進め方がいかに複雑怪奇かを思い知らされた。
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