テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2017年09月号

上陸から二年、Netflixは雌伏する?

2017年09月06日 15:56 by sakaiosamu

二年が経って、VODは定着しつつあるがNetflixは・・・?

Netflixが鳴り物入りで日本でのサービスをスタートしたのは、2015年9月2日だった。いや、正確には、2日スタートと発表していたのを、前日の前夜祭で自らフライングスタートしたので、9月1日が日本でのサービスインの日だった。

前夜祭は盛大に行われ、南海キャンディーズの山里亮太氏の司会で派手な催しとなった。放送とは別の「SVOD」というサービスで日本のコンテンツビジネスは激変する?・・・とも言われたが実際にはどうだろうか。

このところ、動画配信サービスについての記事やニュースが飛び交っている。普及していないのでは、という記事も見かけるが、前回の記事でも書いたように少しずつ着実に普及している、というのが筆者の見立てだ。

実際に利用しているかはともかく、当初全然認知されていなかったのが、Netflix、Amazon、Huluなどと名前を挙げていけば「知ってる」「使ったことある」「利用している」という答えがけっこうな割合で返ってくるようになった。この二年間で、「普及しはじめた」と言っていい段階だろう。

ただNetflixに限って言うと、一般的になったと言えるかはっきりしない。いや、どちらかと言えば「まだまだ」と言った方が現状に近そうだ。一方、本国アメリカや欧米では既存のテレビを揺るがし映画界をも揺さぶり、他の動画配信サービスを圧倒的に引き離す巨大な存在になっている。

「巨額予算のネット動画は"映画"を滅ぼすか」

という見出しのこの記事は、動画配信サービスが映画を圧迫しているという内容だが、実質的に圧迫しているのはNetflixだ。「巨額予算のネット動画」をそのままNetflixに置き換えたほうが早い記事。

「一番面白いのはNetflix —— ミレニアル世代の79%が支持、競合を圧倒」

こちらはアメリカの若い世代はドラマを見るなら断然Netflix、ということになっていることを伝えている。要するに日本以外の世界中でNetflixが圧倒的な存在になっているのだ。

なぜ日本ではそうならないのか。地上波テレビ局が善戦している。無料文化が蔓延している。すでにHuluやdTVなどVODの先行者がいる。さらにAmazonプライムの価格が他国に比べて圧倒的に安い。理由はたくさんあるが、毎日Netflixに限らずSVODサービスをひと通り立ち上げている(それは仕事のためより、純粋に面白いコンテンツを探してなのだが)筆者として思うのは、Netflixのコンテンツの縁遠さだ。いくら彼らが誇るレコメンデーションでおすすめされても、それがどう面白そうなのか伝わらないのだ。

映画やドラマを見るかどうかの時、人はまず自分の知っている「記号」を探す。大多数の人は出演者が有名とか好きとかを重視する。ちょっと通だと監督や脚本家を気にする。そうした「記号」が過去に自分に与えてくれた満足感をもとに、新たなコンテンツを選ぶのだ。

Netflixのコンテンツは、我々日本人が知る「記号」が少ない。ものすごい数のオリジナルドラマが並ぶが、主演もスタッフもまるきり知らないのだ。そんな中からえいやっと思い切って見てみると確かに面白い。だが1シーズン13話なりを見終わると、またどれが面白いのかわからなくなる。

材料がなさ過ぎるのだ。

これはアメリカ以外どこでも同じはずなのだが、ヨーロッパなどでも映画界を揺るがす存在になっているのはどういうことなのか、知りたいところだ。

Netflixの最新情報を、事情通に聞いた

さてこの記事では、そんなNetflixが日本でどうしているのか、どうしようとしているのかを書きたい。私が信頼する映像配信業界の情報通がいる。実は最初にNetflix上陸を教えてくれたのも彼だ。だから上陸発表の日にアドバタイムズに記事を書けた。

「今年秋、上陸決定!Netflixは黒船なのか?VODの進路が日本のテレビの将来を左右するかもしれない」

上陸するのが秋だということの他に、サービスとして企業としていかに画期的かも彼に教わって書いたことだ。

そんな事情通が、Netflixの最新情報を教えてくれたので、ここから先はその情報をもとにしている。

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