氏家夏彦氏の寄稿記事、後編をお届けする。前編を読んでいない方はまずそちらをお読みいただきたい。
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あやとりブログが見通したテレビの未来は具現化したか(後編)
氏家夏彦 メディア・コンサルタント
メディア論ブログ「あやぶろ」編集長 放送批評懇談会の機関誌GALAC編集委員
TBSで報道、バラエティ、情報番組の制作、デジタル部門責任者、経営企画局長、コンテンツ事業局長、TBSメディア総合研究所社長、TBSトライメディア社長、TBSディグネット社長を経て、2017年7月に独立
もう一つ、この提言ではメタデータについても書きました。
■メタデータ・プラットフォームの威力
現在、テレビ局が外に提供しているメタデータ(番組・放送内容に関わるあらゆる情報=リアルタイム・メタデータ)は、新聞のテレビ欄情報と電子番組表のみといっていい。一方、テレビ局以外のサードパーティーがメタデータを提供するケースもある。「後付け」メタデータというもので、放送された番組やCMで取り上げられた商品、アイテム、店舗、ブランド、政党、政治家、タレント、著名人などを全て記録しているビッグデータだ。
リアルタイム・メタデータと後付けメタデータを組み合わせると、商品価値の高いハイブリッド・メタデータになる。このデータを提供できるようになると、現在すでに後付けメタデータを利用している家電メーカーや、通信キャリア、ケーブルテレビ業者、EC事業者、通販事業者、旅行サイトなどWeb企業、各種小売業者などに対し、大きなイニシアチブを獲得できる。
またこれらの膨大なデータを解析すると、ヒットトレンド予測が可能になる。
これまでは、テレビ番組の価値を測定する指標は視聴率だけだった。これに新たなデータという要素を加えれば、テレビの広告媒体としての価値を大きく向上できるだろう。
提言の中では後付けメタデータを扱っているエム・データ社を取り上げました。するとテレビ局からエム・データ社への問合せが急増したそうです。そして翌年、在京キー局5社と大手広告代理店2社がエム・データ社へ出資することになりました。メタデータでは業界トップクラスのエム・データ社がテレビ局と資本提携するのは、まさに予測が当たったと言えます。これでメタデータを利用した新しいビジネスが一気に拡がると期待したのですがそううまくはいかないようで、この分野もまだまだ成長の余地はたくさんありそうです。 (ここから先は登録読者のみ)
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