少し間が空いてしまったが、5月の第二週に在京テレビ局の決算が発表された。その数値を元にいくつかのグラフを作成してみたので見てもらおう。そこから読み取れるのは、ネットが伸びてきても動じないテレビ放送事業の力強さと、微かに感じられる翳りのようなものだ。
まず視聴率を見てみよう。私はいつも、テレビ視聴の把握としてプライムタイムに注目している。22時台まで入っていないと、勤め人も含めた傾向がつかめないと考えるからだ。
2010年度から今回の決算で出た2016年度までをグラフ化している。
これを見ると、フジテレビの凋落ぶりがはっきりわかる。言い方が悪いとは思うが、はっきり言って「一人負け」と言える状況だ。フジテレビを除くと、テレビ離れは起きていないのではないかとさえ思えてくる。つまりそれだけ、「若者のテレビ離れ」が起きておりフジテレビが一身にそれを背負ってしまったのだ。
またテレビ東京と他の局の差がかなり縮まっているのもわかる。都市圏だけのネットワークもこうなると有利ではないかとも思えてくる。
フジテレビの一人負けと書いてしまったが、一方で違った見え方もある。グラフを2014年度までとそのあとで分けてとらえると、この二年間微妙だったのがわかる。2014年度まではフジテレビ以外さほど下がっていなかったのが、それ以降は微減傾向に傾いている。先述の”翳り”がそこに見える。
ここでゴールデンタイムのグラフも見てみよう。
プライムタイムのグラフでもNHKだけがはっきり上昇していたが、ゴールデンではそれ以上にクイっと上がっている。日テレに次いで2位。上期は一時的に1位になって驚いたものだが、これにははっきりした理由がある。熊本の地震とオリンピックだ。災害と4年に一度のビッグイベントがプラスに働いたわけで、イレギュラーな事態と言える。
だがNHKが全体的に伸びているのも間違いない傾向だ。これも視聴者の高齢化の影響だと推測できる。少子高齢化が、フジテレビにはマイナスに、NHKにはプラスに作用している。
各年度の下の数字はHUTではなく、6局の数字を足し上げたものだ。2011年度以降、見事に毎年1%ずつ落ちている。それがフジテレビの「一人負け」によるとも言えないのは、プライムタイムのグラフと同じだ。
では放送収入はどう推移しているか。これも各社の決算資料からグラフを作成したので見てもらいたい。(ここから先は登録読者のみ)
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