年間視聴率で11月まで三冠をひた走る南日本放送
筆者は福岡出身だが、中学高校と鹿児島で過ごした。同級生が鹿児島・南日本放送(以下MBC)の大阪支社長を務めていて、大阪に用事があるたびに会っていたのだが、彼からMBCのユニークな点と視聴率の良さを聞いていた。今年は三冠王をとったという。TBS系列なので関東の状況を考えると不思議だ。
そのMBCから、同級生の計らいもあって講演のお誘いを受けた。せっかくなので、三冠王を取った背景について聞いたことを記事にしたいと思う。他のローカル局にとってだけでなく、キー局も含めてすべてのメディアにとって参考になる話になるはずだ。キーワードは「信頼」だ。
その前に、三冠王の数値を伝えておこう。今年1月から11月までの期間で見ると、全日=7.9%、ゴールデンタイム12.7%、プライムタイム12.2%でいずれも1位だ。ちなみにゴールデンの2位はNHK、3位は鹿児島読売テレビ。日テレ系が3位に甘んじているのも不思議だ。
筆者は鹿児島で青春時代の6年間を過ごしたが、考えてみるとテレビ局がどこにあるかなんて当時は認識していなかった。懐かしい市電に乗り、新屋敷という電停で降りて歩くとすぐに、川沿いに立つMBCの社屋が見えた。
正直言って、絶句した。これ?この建物が三冠王に輝くテレビ局?キー局ほどでなくても、各地のローカル局に行くと、やはり"テレビ局"のオーラを放つものだ。放送している番組のポスターや垂れ幕を掲げたりして、華やかな雰囲気が醸し出される。だがMBCにはほとんどそんな雰囲気がない。建物の上のテレビ塔がなければ、普通の会社とあまり変わらないのだ。
この地味な建物の、どこに三冠を生み出すパワーが潜んでいるのか。よけいに不思議になって受付に向かった。(ここから先は登録読者のみ)
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