MediaBorderの読者諸氏は、「ネイティブ広告」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
3年ほど前から広告業界で注目されてきた概念で、例によってアメリカからやって来た。ここでいう「ネイティブ」とは、”ネイティブ・イングリッシュ”のような意味と近い。何に対する"ネイティブ"かというと、メディアに対してということになる。掲載されるメディアに対してネイティブな広告のあり方を「ネイティブ広告」と呼ぶのだ。
なんとも抽象的な説明だ。わかりやすい例を挙げてみよう。Facebookを眺めていると、お友達の投稿が並ぶ中に時折、「広告」と表示されたものが流れてくる。Facebookというメディアに対してネイティブな広告形式だといえる。これもネイティブ広告だ。
あるいはメディアに掲載される記事の形式での広告もある。[PR}とか[SPONSORED]などと記事のタイトルに添えられたりする。これも一種のネイティブ広告だ。紙メディアで言う「記事広告」と似ているが、記事としても内容的にちゃんと成立していないと「ネイティブ」とは言えない。
このネイティブ広告は、きちんとしたルールで展開しないと「ステマ」になってしまうのではないかとして、消費者庁なども注目していたそうだ。ここは業界としてルールを作成してメディア企業や広告会社で共有しないと、ネット広告全体が疑われてしまいかねない。
ネット広告の業界団体であるJIAAは、このような背景からネイティブ広告を専門に研究するチームを組成して取り組んできた。その成果が、先月10月19日に「ネイティブ広告ハンドブック2017」のタイトルで冊子としてまとめられた。紙で会員社に配布され、ネット上でもPDFが公開された。
このハンドブックは研究チームが手弁当的な作業で進めてきた研究をまとめたもので、広告に関係する人なら読んでおくといいと思う。ただMediaBorderで取りあげるのは、ここにある理屈が、まさに「テレビとネットの融合」の広告ビジネスのひとつの手法として非常に有効だと私が感じているからだ。テレビの延長線上にネットで広告展開をする際に、大いに役立つ可能性がある。そのあたりをもう少し解説してみよう。(ここから先は登録読者のみ)
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