テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2016年08月号

「最後のリッツパーティ」に見る、メディアとブランドとファンの関係

2016年08月22日 13:23 by sakaiosamu

8月16日、Facebookを眺めていたら、気になる話題がタイムラインを流れてきた。

沢口靖子、28年間の集大成「最後のリッツパーティ開催」

・・・なんともシュールな見出しだ。この記事を出したのは、AbemaTimes。ここでも何度かとりあげてきたAbemaTVのオウンドメディアだ。つまりAbemaTVの番組『AbemaPrime』で「最後のリッツパーティ」を放送する告知なのだ。しかももちろん、リッツのCMに長年出演してきた沢口靖子がスタジオにやって来るという。

「最後のリッツパーティ」と聞いて、なぜだか私の心はざわめき立った。正直これまで、リッツのCMに注目したことはない。好きでも嫌いでもなく、空気のように存在する類いのものだった。長らく広告制作の仕事をしてきたが、何かの参考にしたこともない。外資のブランドにはよくあるのだが、同じブランディングを飽きずに何十年でも続ける、そういった種類の広告のひとつだった。戦略としてはわかるが気に留めたことはなかった。

ご承知の通り、ヤマザキ製パンがナビスコとのライセンス契約を終了し、リッツの国内での製造販売を8月31日で終了する。だから沢口靖子が登場するリッツのCMも今月で見られなくなる。長年CM上で繰り広げてきた「リッツパーティ」を『AbemaPrime』で最後に開催しようという企画だ。

そのことを知って、さほど気に留めていたわけではない「リッツパーティ」に心がざわめくのがなぜか、自分でも理由がわからないのだが、いても立ってもいられなくなってしまった。すぐに『AbemaPrime』のプロデューサー・鎮目博道氏にお願いして当日取材することにした。

ざわめいたのは私だけではない。その日のうちにこんな記事が掲載された。

沢口靖子、最後のリッツパーティー開催 生配信&一般観覧も可能

オリコンの発信でYahoo!ニュースに載ったのだ。ネットの一部が明らかに反応している。取材の申込も私だけでなく多数あったようだ。またその夜のTwitterトレンド上位に「沢口靖子」や「最後のリッツパーティ」が入っていた。ざわめきどころか、はっきり話題になってきた。

その「最後のリッツパーティ」の様子は、『AbemaPrime』のアーカイブとしてYouTubeにあがっているので、ざっと見てもらうと雰囲気がつかめるだろう。

またいくつかのメディアがすでに記事にしている。もちろんAbemaTimesにもこんな記事が出ている。

沢口靖子「最後のリッツパーティー」TV生出演 衝撃の事実も告白

さてこの「リッツパーティ」はAbemaTVの新しい広告の仕組みとして試みなのだろう、代理店からの持ち込みに対応した企画のはずだ、と私は当然思った。だが当日スタジオに行って鎮目氏に聞くと、「そうじゃないんすよ」と言う。それはいったいどういうことか、現場の裏側のレポートを含めて書いていこう。(ここから先は登録読者のみ)

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