読者の中には、宣伝会議のWEBメディア「AdverTimes」に私が書いたこの記事を読んでくれた方もいるかもしれない。
→テレビは見られているのかいないのか、よくわからなくなってきた件について
いささか冗長な記事の最後のほうで、JAAA(日本広告業協会)主催の「動画広告フォーラム」の話が出てくる。このフォーラムは全体的に非常に学びが多かったが、中でもパナソニック社の動画を軸にした新しいデジタルコミュニケーションのプレゼンテーションが、強く印象に残った。ある種、革命だと受けとめた。これまでのテレビCM中心にした企業コミュニケーションを、デジタルを中心にとらえ直す。その概念だけでなく、具体的に何をしたのかも語られたのだ。
その考え方の根本は、このスライドに集約されている。
この考え方を具現化したのが、パナソニック社の「ふだんプレミアム」というサイトだ。
これまでの広告コミュニケーションはテレビCMを中心に組み立てられていた。全体予算の中でもっとも大きく、コミュニケーションでの影響力も断然強いテレビCMをまず最初に企画し、それを別のメディアでも展開していく。それが”公式”であり、広告という業界全体の構造や組織体制、制作会社のシステムに至るまでこの枠組みの元、構成されていた。
だがネット登場以来、それでいいのか、という議論はあった。上のスライドの右側の構造であるべきでは、そうなると中心は”コンセプト”ではないかと、十年ほど前から概念的には多くの人が語っていた。それに沿ったコミュニケーションは部分的、局部的には行われもしたが、大きく全体的な変化には至っていなかった。
右側の仕組みに変えるためには結局、発注元であるスポンサー企業の中から変わらないと全体も変われなかったのだ。例えば単純に、テレビCMとWEB上の映像に統一性を持たせるには、”一緒に”取り組む必要があったわけだが、そもそも発注する部署が分かれ別々の予算から発注されるため、代理店も別々になり、当然企画制作の作業も別々になるのだ。
そういう実例を間近で見てきた私としては、パナソニック社という日本の広告業界を牽引してきたスポンサー企業が、明確にコミュニケーションの組み立てを一新したのは、エポックメイキングな印象を受けた。フォーラムで発表した方にどうしても直接取材をしたくなり、お話をうかがいに行った。
パナソニック株式会社、CMJ本部WEB課の木村知世氏からうかがった話は、想像通りの部分と、想像を超えた部分とあり、私にとって大変エキサイティングなインタビューだった。できるだけライブ感ある形で、皆さんにお伝えしたい。(ここから先は登録読者のみ)
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